福岡県公立高校入試理科の傾向
過去7年間の平均点の推移です。理科の平均点は概ね32点前後となります。年によっては36点台まで上がることもありますが、逆に30点を切るような難しい年はここ7年はありません。2021年度の平均点も36.2点と大変高いものでした。
しかし、平均点が高い科目ではありますが油断は禁物です。思考力を問うような問題であったり、完答、完解が多かったり、文章記述や作図が多かったり難解であったり、そういった部分で大きく得点を落とす年も、今年度を含め出てくることが予想されます。繰り返しますが、油断は禁物です。
福岡県の理科は形式が何年も変わっていません。生物から2題、化学から2題、地学から2題、物理から2題の大問8題あります。各分野ごとに15点ずつ計60点満点の配点となります。つまり、幅広い単元から出題されることになります。全範囲から偏りなく出題されることになるので、今年は物理が多く出題されたとか、化学が少なかったなどということはありません。2021年度は大問6の地学分野のみが50%を下回りましたが、それ以外は得点率がどの分野も大変高くなりました。
次に大問の構成です。文章記述、語句および化学式、計算、作図、選択問題という分け方をしています。図は2018年度から2021年度までの4年間を比較したものです。
文章記述と作図に注目してみましょう。
文章記述は60点満点中の21点から26点の配点と大きなウェイトを占めています。作図はどうでしょうか?しばらく4点が続いていましたが、2021年度は9点と配点が増えました。例えば2021年度は文章記述21点と作図9点を足すと30点、2020年度も文章記述26点と作図4点を足すと30点となり、文章記述と作図で全体の半分の配点を占めていることが分かります。単純な選択問題であったり、1文字語句を答える問題、あるいは計算の問題と比べても、文章記述と作図が大変重要な大問であることがわかると思います。
①4分野から均等に出題されます。
②文で答える問題が多い(2021年度は21点分)
②「両解・全解」の量に左右される。
2020年度は両解・全解の問題が非常に多く、平均点が大きく下がりました。しかし2021年度は両解・全解の問題が減り、その分平均点は36点台にまで上がりました。
④正答率が極端に低い問題がある。
特に化学反応の計算に多いので注意しましょう。2020年度の化学反応の正答率は非常に低いものでした。この中でも3番目の「両解・全解」が多い年度は、難易度がそれほど高くなくても、得点に差がつきます。やさしい問題であっても、片方が合っていても、もう片方が間違ってれば得点なならないので、このような年は要注意です。
どの分野でも必ず文章記述の問題はあります。よく出るものは暗記をしてしまいましょう。
公式を使う練習を繰り返しましょう。複雑な計算は後回しで構いません。基本的に福岡県公立高校入試に出てくる計算問題は公式に当てはめるものがほとんどです。
理科の問題には決まったパターンがあります。パターン別にもれなく取り組みましょう。具体的には4分野で3学年分、全部でおよそ90パターンの問題しかありません。90パターンと聞くと多いように思えますが、1日1パターンをしっかり理解すれば90日で終わります。つまり入試までの3カ月で、慌てなくても対策ができるのです。
最後に入試本番での実践項目について説明します。
どの科目にも当てはまることですが、部分点がもらえる可能性もありますので、解答用紙に空欄を作らないようにしましょう。部分点がもらえることもあります。
特に記述問題は主語や文末表現をチェックしましょう。「〇〇から」や「〇〇ため」で終わる時と終わらない時、読点がいる時といらない時などをチェックしてください。このような細かい部分で点数を失うのはとてももったいないことです。
この問題は「名称」を書くのか、「化学式」で答えるのか、「番号」や「記号」で答えるのかなどを確認してから解答しましょう。「単位」もきちんと見ておき、答える単位がA(アンペア)なのか、mA(ミリアンペア)なのかなどを確認してください。
集中力が切れる科目です。なぜなら理科は4科目目となり、食事をした後に受けるためです。ケアレスミスを起こしやすいタイミングとなりますので、集中力を切らさず、全力を尽くしましょう。
公立中学校の理科の内容は生物・地学の分野は暗記が多いですが、
化学や物理分野は理解が必要な分野です。
暗記が多い生物・地学分野
理解が必要な化学・物理分野
理解が必要な化学や物理分野が苦手な中学生が多いです。
教科書に準拠した教科書ガイドなどを用い、丁寧に理解、復習を心掛けるようにしましょう。
苦手分野を放置したまま中学校3年生になると、復習が追い付かないこともあるため、
まめに復習する習慣を早期に身に付けておきましょう。
理科は範囲が広いため、3年生になって慌てても受験まで間に合わないことも
あります。
理科は暗記教科という印象があり、重要語句を覚えていれば点数が取れるというと思っている中学生が多いですが、これが最大の落とし穴だと感じています。
「理科が苦手」という中学生の相談を受け、話を聞いてみると、理科の勉強は暗記だけで"わかった気"になって、演習をしていないことが多いのです。なぜそういう中学生が多いのかというと、理科の語句がその現象をそのまま表していることが多いのが原因ではないかと考えます。
例えば「等速直線運動」。これは文字を見れば「同じ間隔で真っすぐ進む運動」だなと意味がわかります。
そのため、理解したつもりになって演習をおろそかにしてしまい、実際テストで問われると、「あれ?
何だったっけ?」となり、正確に答えを書くことができなくなってしまうのです。
理科の勉強は、まず知識を固めることが重要です。まとめノートを作ったり、重要語句がまとまっている問題集を利用すると、重要語句とその仕組みや関連性がわかるようになり効果的です。
次に知識がきちんと身についているか、実際の問題を解くことで確かめます。繰り返し演習を行うことで、"わかった気"になっていた部分を再度確認することができるとともに、問題形式に慣れることもできます。
まず、理科の高校入試の勉強をする際に気をつけたいポイントとして、次の3点が挙げられます。
それぞれについて詳しく解説します。
「理科といえば暗記教科」というイメージがあり、どうしても問題演習がおろそかになりがち、という人も多いのではないでしょうか。
「暗記していれば点数がとれるはず」とわかったつもりになっていたものの、実際のテストでは正しい答えを書くことができず、悔しい思いをした経験をした人もいることでしょう。
このようなことを防ぐためにも、用語だけを暗記する勉強方法は避け、問題演習を積極的に行っていく必要があります。
高校入試における理科の知識をきちんと身につけるためには、演習で実際の問題形式に触れ、繰り返し学習することが大切です。
繰り返し学ぶことで、よく理解できていなかった「わかったつもり」を洗い出せます。また、理科の問題形式に慣れることができる点もメリットとして挙げられます。
理科の入試対策を進めるうちに、苦手な分野がはっきりして来た場合は、どの部分が苦手なのかをきちんと確認しておきましょう。
自分の苦手な分野がわかったところで、その分野を徹底的に復習すると、理科の成績アップにつながります。
理科の入試用問題集を選ぶ際には、次の2つの点に気をつけると良いでしょう。
ここからは、それぞれの選び方について詳しく紹介します。
理科の問題集は、なるべく解説が詳しいタイプを選ぶのがおすすめです。問題集の中には、問題と解答だけが掲載されているタイプのものがありますが、これでは自分がどうして間違ったのかということを振り返ることができません。
わからない問題にぶつかったとき、自分で解説を読み進めていける問題集であれば、以降の勉強をスムーズ進められます。
理科の受験対策を初めたばかりの頃は、記述形式の問題集ではなく、一問一答形式の問題集を選ぶと良いでしょう。
一問一答形式は、記述形式と比べると勉強にかかる時間が短く済むため、勉強を進めやすい点がメリットとして挙げられます。一問一答形式の問題集を使うことで、理科の用語や実験の知識といった基本的なことを押さえられます。
負担の軽い一問一答形式のものから手を付け始め、終了してから記述形式の問題集に取り組むことがおすすめです。
理科の入試対策法は、以下の3つが挙げられます。
それぞれの高校受験対策法について具体的に説明します。
受験対策用の問題集を購入したら、何度か繰り返し解きましょう。先ほど紹介した通り、一問一答形式で、あまり時間をかけずに済むような問題集がおすすめです。
最低でも3回程度繰り返し取り組み、問題集の内容を完璧に理解できるようにしましょう。
ただ問題を解くだけでなく、用語を覚えることも大切です。また、苦手な分野を重点的に繰り返すことで、知識が早く吸収され、勉強の効率がさらにアップします。
1冊の問題集を終わらせたところで、志望校の過去問に取り組んでみましょう。
過去問を解いていけば志望校の出題傾向をつかむことが可能です。実際の入試で高得点を狙うのであれば、必ず過去問を使った練習をしておきましょう。
なお、過去問を解く際にも、問題を解きっぱなしという状態では、効果は半減してしまいます。間違った問題については必ず解答をしっかり確認し、繰り返し解き直して、苦手な分野をなくしていくことが必要です。
理科用語の知識問題対策として、問題演習で覚えきれなかった用語をまとめておくと良いでしょう。
入試で必要な理科用語を片っ端からノートにまとめようとする人は少なくありません。しかし、この方法だと時間がかかりすぎてしまうだけではなく、結果的にほとんど覚えられなかったという人もいます。
時間が限られている入試対策期間だからこそ、なかなか覚えられない用語だけをまとめて、最後に見直す形を取ることで、効率的に勉強を進められるのです。
また、計算問題対策として、今まで解いた問題集の計算問題だけを抜き出し、繰り返し解く練習をしておきましょう。
計算問題練習をする際は、付せんを活用した勉強法もおすすめです。問題集のページごとに貼り付けた、大きめの付せんに解答を書き込んでは消す、という形で繰り返し解いていくと良いでしょう。
ここからは、理科の入試対策をするうえで意識しておきたいこと3つを紹介します。
以下、それぞれについて具体的に説明します。
「まとめノート」を作成していて、時間を忘れてのめり込んでしまう人は多いでしょう。しかし、まとめノートに時間をかけてはいけません。
まとめノートを作る目的はあくまでも覚えることです。きれいなノートを作ることではない、という点に注意しましょう。
ノートを作る時間は短時間で済ませるように心がけるべきです。
問題集を解くときは、漫然と問題を解いていくのではなく、必要な用語を覚えながら進めていくと、効率よく勉強を進められます。
とくに理科は、覚えた用語の量が得点にも大きく影響します。問題を解くと同時に、暗記も意識しながら取り組んでいきましょう。
理科は英語や数学などの教科と異なり、入試直前でも成績の上がりやすい教科です。入試の得点源とするためにも、最後まであきらめずに対策を行いましょう。
今回は、高校入試対策として、効率の良い理科の勉強法のコツを紹介しました。
理科は暗記教科というイメージがありますが、用語の暗記だけでは正しい答えにたどり着けないことがあります。
理科は演習を行うほど点数の上がる教科ですので、暗記だけに頼らずたくさんの問題に触れ、入試直前までの成績アップを目指しましょう。
2020年福岡県公立高校入試理科
試験問題大問1
2020年福岡県公立高校入試理科
試験問題大問2
2020年福岡県公立高校入試理科
試験問題大問3
2020年福岡県公立高校入試理科
試験問題大問4
2020年福岡県公立高校入試理科
試験問題大問5
2020年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問6
2020年福岡県公立高校入試理科
試験問題大問7
2020年福岡県公立高校入試理科
試験問題大問8
解答及び配点
2019年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問1
2019年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問2
2019年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問3
2019年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問4
2019年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問5
2019年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問6
2019年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問7
2019年福岡県公立高校入試理科
入試問題大問8
理科が苦手だという中学生の生徒さんは一定数いらっしゃいます。
この記事では、元中学理科教員の筆者が、「理科の成績の伸ばしやすい単元順」「高校受験の理科の効率的な学習法」などについて解説します。
理科の効率的な学習法を知りたい
成績の伸びやすい単元・分野を知りたい
理科の成績を上げるのに学習塾を利用すべきかどうか
これらを知りたい方におすすめの内容になっています。
筆者は元中学理科の教員で、現在はインターネットで教育活動を行なっています。運営している中学理科の学習サイトは月間アクセス30万回を超えており、YouTubeの登録者は5万人弱。私の元には中学生からたくさんの学習に関する質問が届くため、効率的な学習法を常に研究し生徒さんたちに提供しています。
この記事が受験成功の一助となれば幸いです。
以下の図は私が中学生に行なったアンケート結果です。
理科が苦手な中学生は一定いますが、英語や数学に比べると少ないことがわかります。理科は比較的暗記分量が多いことなどからこのような回答になっていると考えられます。
元教員の立場から言うと、「理科は成績を上げやすい教科である」といえます。「成績を上げやすい教科は理科・社会」「成績を上げにくい教科は国・数・英」というのが一般的な中学教科に対する教師や塾講師の見解です。
逆に言うと、理科は入試直前でも伸びる可能性がある教科といえます。そして、それはどの生徒さんでも同じです。ライバルも入試の直前に理科の成績を伸ばしてくるかもしれません。そのため入試では、「理科で点数を大きく落とさないこと」は非常に重要です。
理科が苦手ならば、一つ一つ苦手分野を潰していくことが大切です。次章から、理科の成績を上げるための具体的な考え方を紹介していきます。
ここでは、理科における「成績の伸ばしやすい単元」と「単元ごとの学習のポイント」を解説していきます。
理科の特徴として、単元ごとに内容や難易度が大きく変わることが特徴です。2022年現在、理科の学習内容は以下のようになっています。
1年 | 2年 | 3年 | |
生物分野 | 生物のなかま | 生物のからだ | 生殖と遺伝 |
化学分野 | 気体と状態変化 | 化学変化と原子・分子 | イオン |
物理分野 | 光・音・力 | 電流と磁界 | エネルギーと仕事 |
地学分野 | 火山と岩石 | 日本の天気 | 天体の動き |
これらの単元を、筆者の経験から点数を伸ばしやすい順にカテゴライズすると、以下のようになります。
1年 | 2年 | 3年 | |
伸ばしやすい |
生物のなかまわけ 火山と岩石 |
生物のからだのつくり | |
普通 |
気体と状態変化 光・音・力 |
化学変化と原子・分子 日本の天気 |
生殖と遺伝 天体の動き |
伸ばしにくい | 電流と磁界 |
エネルギーと仕事 イオン |
これらの単元上の特性を理解しながら、学習をしていくことが大切になります。
まずは成績を伸ばしやすい単元の学習法を解説します。中学理科の単元で成績を伸ばしやすいのは、以下の3つの単元です。
生物のなかまわけ
火山と岩石
生物のからだのつくり
これらの単元は、なぜ成績を伸ばしやすいのでしょうか。それはこれらの単元が「理解を必要とせず、単純な暗記だけで正解できる問題が多い」からです。
例えば「魚類の体の表面は何で覆われているか?」という問題を正解できるようになるためには、難しいことを理解する必要はありません。単純に「うろこ」と答えを暗記すればよいのです。
成績を伸ばしやすい単元には、このような問題が多い傾向があります。もちろん覚える「量」は多いので大変ではありますが、国語の漢字や語彙、英語の単語などと同じように、学習すればするだけ力になり、成果につながります。
また、入試問題であっても、簡単な問題と難しい問題で配点はそこまで大きく変わりません。
であれば、簡単な(基礎的な)問題に優先的に取り組み、確実に得点することが重要になります。逆に、皆が得点できる基礎問題を間違ってしまうと、他の生徒との差がついてしまいます。基本問題を確実にパターンで「覚える」ことが成績を上げる近道です。
理科にはさまざまな単元があり、一人一人得意な単元や興味がある単元は異なります。ですが成績が伸びやすい、これら3つの単元は、優先的に学習していくことをおすすめします。
一方で、成績が伸ばしにくい単元は
電流と磁界
エネルギーと仕事
イオン、天気と天体、遺伝
などが挙げられます。これらの単元はなぜ成績を伸ばしにくいのでしょうか?それはこれらの単元は、1問解くのに必要な知識や、理解しておくべき事柄が多いからです。
例えば次の問題を見てみましょう。
次の回路図の電流を単位をつけて答えよ。
この問題を解くためには、
・I(アイ)が電流であること
・電流は電圧÷抵抗で求められること
・電流の単位はIであること
など細かな知識を全て覚えておく必要があります。(ここでいう「覚える」は、「理解したうえで記憶している」という状態です)
これらの知識が合わさって、1つの問題を解くことができるのです。言い変えると、正解に到達するまでの過程が多いとも言えるでしょう。
つまり、1問解くために必要な勉強量が多い単元なのです。そのため、特に理科を苦手に感じている生徒さんは、基本的には後回しにすべき単元ともいえます。
このように、理科は単元ごとに難易度が大きく変わることが特徴です。
成績を伸ばしやすい単元 → 普通の単元 → 成績を伸ばしにくい単元
という順で学習していくことで、効率を高めることができるでしょう。
成績が伸ばしにくいからといって、後回しにしたまま手をつけないわけにはいきません。実際に取り掛かる際には、以下のことに注意してみましょう。
【生物】
・植物と動物については暗記がメインになります。3年生で学ぶ遺伝は、「メンデルの法則」が難しいと感じる生徒が多いようです。系図を自分の手で書いて理解するようにしましょう。
【化学】
・元素記号と化学式は「暗記」です。これは九九と同じで覚えなければ始まりません。そこをクリアしてようやく3年生で習うイオン化や化学反応式が理解できるようになります。
【物理】
・おそらく最も苦手と感じる人が多い単元が物理です。覚えることよりも、現象を理解したうえでさらに計算が必要になります。公式の暗記はもちろん重要ですが、どの問題でどの公式を使いどの数字を当てはめているか、何度も繰り返してください。
・電流と磁界、エネルギーと仕事は目に見えないもののため、イメージしづらいかもしれません。できる限り自分の手で、教科書や問題集の図を参考に毎回絵を描いてみましょう。自分で描けるようになるまで繰り返してください。
余談ですが、筆者の知人で高校の数学教師の方がいます。この方はずっと数学が得意だったのですが、高校の頃に宇宙工学を学びたくて理系クラスに進んだものの、物理が全くできず行きたかった大学の学部をあきらめ、数学教師になったとのことでした。数学と物理は似ているようですが、物理は本質的に実体のあるものに対する研究のため「数学はできるのになぜ物理ができないのか」と悩む必要はありません。
【地学】
・天気は気流の流れや風向きなどの原則を「理解してから」覚える。(湿度計算は数学を復習する、風は高気圧から低気圧に向かって吹くなど)
・天体の運行は方角と時刻、自分の視点の位置を意識して考える。(実際に夜、星や月を観察して方角などを確認すると、模式図を見た際にイメージしやすい)
成績を上げるために最も大切なことは、「基本問題を繰り返して解き、徹底的に覚えること」です。これは全ての教科に言えることです。
筆者は元・理科教員です。ほぼ全ての問題に正解することができますが、それは全ての問題の答えや解き方(パターン)を「覚えている」からです。
テストで問題を見た時に「この問題は見たことがある」「確かこのパターンで解けばよいはず」と、覚えた内容が思い浮かぶこと。このような正解に至る過程は、全ての問題、全ての教科に共通していえることです。
まずは成績を上げるためには「解いて、より多くのパターンを覚える」ことが大切だと理解してください。
ただやみくもに覚えるだけでは成績は伸びません。覚えたことを点数につなげるには、「問題を見た時に、答えを一瞬で思い出すことができるかどうか」を基準にしましょう。
例えば、九九で考えてみるとわかりやすいでしょう。小学生のとき、スラスラと流れるように言えるまで九九を唱えて覚えたのではないでしょうか。これが、「覚えたことを点数につなげられる」状態です。
理科に限らず、入試問題で点数を取るには、問題を見た瞬間に答えや解き方が頭に浮かぶまでくり返し練習し、記憶する必要があります。問題集を一回解いただけで覚えた(解けるようになった)気になっていると、テストで同じ問題が出ても解くことはできません。
「勉強したのに解けない」というのは非常にもったいない状態です。一瞬で答えが浮かぶようになるまで繰り返し類似の基礎問題を解きましょう。そこまでできて初めて、応用問題へステップアップできるようになります。
問題パターンを覚えるには、問題集を使った学習が効果的です。
「教科書を読む」「ノートにまとめる」「映像授業を観るだけ」などは典型的な「頭に入らない」学習法です。
問題集を使った学習の良いところは、「自分の頭で思い出す(考える)」という過程を必要とするところです。この過程が絶対に必要です。「読むだけ」「まとめるだけ」「観るだけ」というのは、自分の頭で考える過程がほとんど発生せず、覚えたことが定着しません。
問題集を効率よく使うには、次の2つのポイントを押さえましょう。
①何度もくり返し解く
②問題を解く時に印をつけていく
①の「問題集は何度もくり返し解く」についてですが、これはどの学習法の本でも言われる基本的なことです。
なお、問題集は3冊をそれぞれ1回だけ解くよりも1冊を3回解いた方が、はるかに効率が良いです。例えば、予備校の先生は、問題集の使い込み具合を見るだけで成績の予測がたつそうです。「一冊の問題集をくり返し使用する」ことがこの話からも分かります。
参照:塾探しの窓口
前提として、理科は暗記して答える「暗記系」と、基本的な解法パターンを理解して回答する「理解系」の2つに分類されます。それぞれ効果的な勉強法が異なるため、注意が必要です。それぞれの勉強法のポイントを押さえることで、より効率的に学習を進められます。まず、「暗記系」は知識さえ身に付いていれば答えられるものです。したがって、「用語の知識を増やす」ことがポイントとなります。暗記をするためには、「何度も問題集を解く」ことが大切です。問題集を繰り返し解き、自分でテストを実施しましょう。このテストのときに、自然に覚えた内容を思い出せるようになることが目標です。この「思い出す練習」を何度も行うことで、情報を脳に強くインプットできます。
「理解系」の学習をするときは、「メカニズムを理解する」ことが重要になります。どのような「原因」によって、どのような「結果」になったのか、一連の流れを把握することが大切です。メカニズムをきちんと理解し、その内容を説明できるようにしておきましょう。それ以外にも、「公式を使えるようにする」必要があります。理科には多くの公式があり、それらを覚えて活用することで、解き方のパターンを身に付けられるのです。なお、理科はひとつひとつのステップを理解できてから次に進むようにしましょう。理解できないままだと、次へ進めば進むほど「内容がわからない」と悩んでしまう原因につながります。暗記と理解の両方に意識を向け、焦らずじっくりと学習を進めることが肝心です。
理科にはいくつかの分野があります。大きく分けると、「生物」「化学」、そして「物理」「地学」の4つです。それぞれの分野における効果的な学習方法について見ていきましょう。
生物は中学1年のときに「植物」、2年のときに「動物」について学ぶことになります。3年になると、「細胞分裂」「遺伝の法則」などを学ぶことが基本です。生物の学習においては「分類をきちんとできるようになる」、また「つくりや働きの名前およびその仕事内容を覚える」ことが重要になります。分類を覚えるためには、「分類図の作成」がおすすめです。ノートにつくりと働きについてまとめた絵を描いてみましょう。自らの手で描くことで記憶に残りやすくなります。ノートにまとめておけば、復習するときにも役立つでしょう。
化学は中学1年のときに「物質・気体・水溶液の濃度」と「溶解度・物質の状態変化」について学びます。2年では「化学反応」「化学式・化学反応式」、3年では「イオン・酸」「アルカリ・中和」についての勉強を行います。化学の勉強をするにあたり、重要になるのは「暗記」です。物質名およびその性質、また実験器具の使い方についてしっかりと暗記する必要があります。また、「計算問題」も解けるようにしておきましょう。計算問題は数をこなすことで知識が身に付きます。化学は積み上げ式の学習内容となっているので、もし化学でつまずいた場合は前学年の単元に戻って学習することがおすすめです。
物理は中学1年のときに「光・音・力」、2年のときに「電気」、3年のときに「運動とエネルギー」について学びます。物理は「原理を理解する」ことが肝要です。法則や公式をただ覚えるだけではなく、原理を理解したうえでこれらを使えるようにすることが重要になります。勉強方法としては、法則や公式を覚えて実際に問題を解いていきましょう。問題を解いていくことで、公式の意味を少しずつ理解できるようになります。また、きちんと復習を行う必要があります。復習によって応用力が身に付き、より多くの問題を解けるようになるのです。
地学は中学1年のときに「地質」、2年のときに「気象」、3年のときに「天体」について学ぶことになります。地学は用語を暗記するだけではなく、「公式や法則をきちんと理解する」ことが学習のポイントです。地学では公式や法則を使う問題が苦手な人が多い傾向にあります。用語を暗記しただけだと、いざ問題を解くときに頭が混乱してしまう人も多いため要注意です。法則を理解して問題演習に取り組むことで、地学の知識をしっかりと身に付けられるでしょう。
理科は分野と単元ごとに区切りがはっきりとしており、それぞれ特徴も異なります。そのため、人によって単元ごとに得意・苦手が明確になりやすい傾向です。苦手な単元をそのまま放置してしまうと、テストや受験のときに良い点数を取れなくなる原因になり得ます。きちんと自分の苦手な単元を把握し、その対策を練ることが重要です。理科のなかでも、苦手になりやすい単元には以下の4つが挙げられます。まずは中学1年のときに習う「圧力・浮力」です。さらに、2年のときに習う「電流」「原子・分子」「天体」も苦手になりやすい単元として知られています。
「圧力・浮力」は、ニュートンという重力の単位が出てきます。圧力や力の分散など理解が難しい部分も多く、公式を使う計算問題に悩まされる中学生も多いのです。「電流」は可視化できない電流の仕組みについて理解する必要が生じます。目に見えないぶん仕組みを正しく把握することが難しく、つまずく人も多い単元です。「原子・分子」は元素記号や複雑な化学式など、覚えることが多岐にわたります。そのため、暗記がなかなかうまくいかず挫折してしまうケースも多いのです。「天体」は3年の冬休み前に習う単元です。受験などで忙しい時期であるため復習の時間が取れず、理解を深められないまま放置してしまう人も多くいます。また、天体はスケールが大きく、なかなか想像できないという人も少なくありません。このような理由によって、天体の勉強は手こずりやすい傾向にあるのです。
理科を勉強するときは、いくつかのポイントがあります。効率的に学習を進めるためにも、きちんとポイントをチェックしておきましょう。
理科の勉強を効率的に行うためには、自分で「まとめノートと間違いノートを作る」ことがおすすめです。まとめノートとは、授業中に学習した内容や重要なポイントを自分の好きなようにまとめるノートのことです。まとめノートは作成している段階で、頭のなかにある知識を整理できます。教科書にはさまざまな情報が載っており、自分が集中的に学習したい部分を探すことが面倒になりがちです。その点、まとめノートは教科書とは異なり、分野ごとに情報を管理することが可能です。覚えたいことだけを効率的に抽出できるため、学習スピードの向上が期待できます。なお、ノートを作るときは文章だけではなく、図や表なども盛り込むと効果的です。情報量を多くすることでイメージがつかみやすくなり、脳にインプットできます。
間違いノートはテストや試験などで間違った問題をまとめておくものです。間違いノートを作成することで、「なぜ間違えたのか」という原因を深く追求できます。その結果、間違えた理由をしっかりと把握でき、同じミスを繰り返さないよう、注意できるようになります。間違いノートはいわば、自分の苦手な分野を濃縮したオリジナルの参考書として活用できるのです。また、間違いノートの作成によって「わからないものをそのままにしない習慣」が身に付きます。間違った原因や足りない知識を調べるクセを付けることで、自然と復習を行えるようになるでしょう。
理科は「わかったつもりをなくす」ことが重要なポイントとなります。理科は暗記するものが多く、用語を覚えてさえいれば問題ないと考える人もいるでしょう。しかし、それは「わかったつもり」でいるだけで、いざ問題演習をすると「解けない」というケースも多いのです。暗記だけだと深い知識が身に付かず、わかった気になってしまう人もいるため注意しましょう。わかったつもりを防ぐためには、何度も演習をして理解を深めることが大切です。繰り返し問題を解けば、自分が理解できているのか、それとも理解が足りないのかがすぐにわかります。
また、間違いノートを作成して活用することも良い方法です。自分の理解が足りないポイントをしっかりと押さえておきましょう。単語だけではなく事象や原理など、仕組みそのものを理解することによって、幅広い問題に対応できるようになります。応用問題などを出題されたときも、土台をしっかりと固めておけばスムーズに答えを導き出せるでしょう。目に見えない事象や原理について理解しにくいという場合は、イメージ図を参考にすることがおすすめです。それ以外にも、理科室のモデルなどを使って理解を深めるのも良いでしょう。
理科は単語などを覚えるだけで、つい「わかったつもり」になってしまいがちです。わかったつもりでいるのではなく、ひとつひとつの事象をきちんと理解し、イメージするクセを身に付けることが重要です。また、覚えたことを忘れないように反復練習を行う習慣も身に付けましょう。問題を解くなかで間違えたものは放置せず、しっかりと理解するように心がけることが肝心です。コツコツと努力を積み重ねて理科を得意科目にしましょう。
理科以外にも、中学ではたくさんの教科を習います。バランス良く学習できるように、ほかの教科の勉強法についても確認しておきましょう。
数学は「問題を正確に理解して解法を導き出す力」が必要になる教科です。いわゆる積み上げ式の教科であり、中学1年のときに習う基礎をきちんと身に付けておかないと、次のステップに進むことが難しくなります。中学2年以降で出題される応用問題が解けなくなり、結果として挫折してしまう人も多いため、注意が必要です。数学の解法を導き出す力は、「問題集をたくさんこなす」ことで養えます。コツコツと問題集に取り組み、まずは自分の得意・不得意を探りましょう。どのような問題にどれだけの時間がかかるのか、しっかりと把握しておく必要があります。きちんと時間配分を考えられるようになれば、時間制限が設けられているテストなどでも役立ちます。
英語は一度つまずいてしまうと、戻るのも先に進むのも難しい教科といえます。コツコツと勉強を続けることが求められる教科であるため、日頃から努力を怠らないようにしましょう。たとえば、「毎日英語の語順に触れる」ことも重要です。英語の文法に触れる習慣を身に付けましょう。また、コツコツと勉強して単語力や文法への理解力を高めておくことが大切です。学校で配布されたプリントなどを使って、繰り返し演習を行いましょう。
国語には大きく分けて、漢字などの「知識が求められる問題」と文章の理解力を示すための「読解問題」の2種類があります。知識問題は「法則性をつかむ」ことが学習のポイントとなります。漢字や熟語は暗記しようと思ってもうっかり忘れてしまい、テストなどで焦ってしまうことも多いものです。効果的に暗記するためには、漢字や熟語の成り立ちを知ることが重要です。成り立ちまで含めて暗記することで、より記憶に定着させやすくなります。
読解問題は、その文章が「何を伝えたいのかをイメージして読む」ことが重要になります。文章を読んでいるときに「いつ」「どこで」、また「誰が」「何を」するのか、頭のなかでイメージしてみましょう。想像によって要点が浮き彫りになり、物語を読み解きやすくなります。これを繰り返すことで、読解力が鍛えられていくでしょう。なお、知識そのものが不足していると文章を読み解くことが難しいものです。日頃から言葉へのアンテナを張り、あらかじめある程度の知識を固めておくようにしましょう。
社会は積み上げ式ではなく、基本的には「暗記科目」となります。したがって、社会のテストで高得点を取るためには、「習ったことを暗記できているかどうか」が鍵となります。何度も要点を復習し、しっかりと脳にインプットしましょう。暗記の効果を高めるためには、目だけで記憶するのではなく、「声に出して覚える」ことがおすすめです。音読すると脳が刺激され、記憶しやすくなるとされています。また、一度覚えたはずの内容であっても、時間が経てば忘れてしまうこともあります。肝心のテストなどで「忘れてしまった」というミスを起こさないためにも、反復練習を欠かさずに行いましょう。
中学生の理科は小学生の理科に比べて難易度が高くなります。その理由は中学生の理科では覚える内容や理解すべき内容が小学生の理科に比べて圧倒的に多いからです。この記事では、中学生の理科を学ぶコツや暗記のコツ、ノートの取り方についてご紹介します。
中学生の理科を効率的に学習するコツは「ジャンルによって学習方法を変える」ことです。同じ科目なのにジャンル別に学習方法を変えるのは面倒と思うかもしれません。中学生の理科をざっくりと勉強するのは「暗記モノの学習の最中に計算問題を練習するようなもの」です。だからこそジャンルに応じた学習方法、暗記と応用をバランスよく取り入れることで効率的な学習ができるようになるのです。
中学生の理科は「物理・化学・生物・地学」の4つのジャンルに分けられます。定期テストや高校受験ではジャンルごとの問題が出題されます。4つのジャンル別に問題の出題傾向を挙げてみましょう。
● 物理:各法則の理解と応用問題
● 化学:元素記号などの暗記と実験グラフ解析
● 生物:生物分類などの暗記中心
● 地学:地学用語などの暗記中心
それぞれの傾向から、中学生の理科では「暗記」が多く求められるのがわかりますね。物理だけは傾向が異なり、公式や法則を基にした計算問題が中心になります。
暗記だけならまだしも、計算問題が入ってくると理解が追いつかなくなるケースも多くなるでしょう。だからこそ中学生理科の暗記問題と計算問題は、日々の予習と復習がとても大事になります。
物理と化学は公式と暗記・応用問題がメインになります。数学の計算問題のような公式や英語のような単語の暗記力、国語の読解問題や社会の図解問題のような分析力も必要です。
中学生の物理で大切なのは「公式の理解」です。物理のテストでは公式をベースにした計算問題、応用問題が出題されます。
注意点は物理現象の違いによって当てはめる公式も異なる点です。ただ公式を暗記するだけではなく、物理現象とセットで覚えておくことが大切です。
「電力」を求める公式「電力=電流×電圧」を例にしてみましょう。これは瞬間的な電力を求める公式であり、この「電力」に「時間」を乗算することで「電力量」となります。このように一つの分野において物理現象と公式をセットで覚えておけば、定期テストや高校受験でみられるひっかけ問題にも対応しやすくなるでしょう。
基本的な問題はスラスラと解けるようになっておくことは必要不可欠です。定期テストや高校受験では、まれにひっかけ問題が出題されることもあります。
ひっかけ問題は出題時の言い回しや実験の前提条件を少しだけ変えているものが多く、問題をよく読んでおかないと間違ってしまいます。だからこそ日頃から基本的な問題を繰り返し学習することで、定期テストや高校受験のときの違和感に気付けるようになるのです。
しかし、基本的な問題だからと復習をおろそかにしていては、問題をきちんと最後まで読まずに間違った答えを書いてしまうことがあります。せっかく取れる点数を失ってしまわないように、基本的な問題や例文集は繰り返し解いて学習しておきましょう。
中学生理科の化学で重要なのは元素記号の暗記です。定期テストや高校受験で出題される問題は元素記号を暗記していることが前提のものが多いです。ただ記号や読み方を覚えるだけではなく、元素がどのような物質を形作っているのかと結び付けて理解しておけば、より効果的に暗記できるでしょう。
物理ほど複雑ではないものの、化学にも計算問題や応用問題が出題されます。mol(モル)計算などがその代表ですが、多くは複雑な公式を使うような問題ではありません。出題パターンがある程度決まっていますので、基本的な問題はスラスラと解けるようにしておきましょう。
中学生の生物と地学は、物理や化学と違い全体的なつながりが重要なジャンルです。暗記することが多く、まず全体を理解した上で個別の事象や現象を覚えていく必要があります。物理や化学と同じような学習方法では理解が追い付かないので注意しましょう。
生物や地学では図やイラストを活用することで、より全体像をつかみやすくなります。定期テストや高校受験でも図やイラストを用いた問題が出題されるため、全体図をまるごと暗記するのもよいでしょう。
マインドマップは生物や地学の学習に効果的です。
マインドマップとは、”頭の中で行っている思考プロセスをそのままの形で描き出すノート法の1つで、思考を可視化し、整理しやすいという利点がある。”というものです。
このようにマインドマップには「記憶の整理」や「発想」をしやすくする効果があります。授業で学んだことを自分の頭の中だけで振り返るのではなく、実際にノートに関連付けて書くことでイメージがつきやすくなります。
中学生の理科と小学生の理科にある大きな違いは「覚えることが多い」という点です。だからこそ、効率のよい覚え方を実践することが大切なのです。
中学の理科で覚えるべき化学式は限られているため、いかに効率よく暗記するかが大切になります。化学式を暗記するコツは
● 書く
● 声に出す
● くり返す
● ゴロ合わせ
の4つです。声を出しながら書いて暗記することで視覚と聴覚から脳への信号が強くなり、暗記しやすくなります。ゴロ合わせも暗記には有効です。
例)元素名の暗記方法…「水兵リーベ僕の船七曲がるシップスクラークか」
元素名と元素記号を組み合わせた暗記方法で、リズミカルに覚えられます。
例)リトマス試験紙の色…「100点さんは赤くなる 0点あるから青くなる」
酸性だとリトマス試験紙は赤くなり、アルカリ性だと青くなります。100点「酸」は赤くなり、0点「アル」から青くなるというように、シチュエーションをイメージできるゴロ合わせなども覚えやすいですね。
化学式の表し方には一定の決まりごと、法則があります。その決まりごと元にして覚えると暗記しやすくなるでしょう。
例)
酸化〇〇という物質であれば化学式は「~O」
二酸化〇〇ならば化学式は「~O2」
このように、酸素原子は化学式の後半につくと覚えておけば、元素記号と法則を暗記するだけで済みます。
中学生の理科の学習ではノートの取り方も重要になります。というのも理科のノートは自分にとって最高の参考書になるからです。授業で行なった実験結果の要点など、市販の参考書以上の学びが得られるノートの取り方をご紹介します。
ノートは授業の要点がわかるように取ることが大切です。つまり、学んだことを自分なりにまとめ、その後の学習で効果的に使えるようなノートを作ることです。理科のノートを取る場合は「ノート=参考書を作る」というイメージで行うとよいでしょう。
ノートの基本は授業中に先生が黒板に書いた内容を丸写しすることです。ただし、中学生の理科は後になってから学んだことの応用やポイントなども教わります。参考書として取るノートですから、後から学んだことを追記できる十分な「余白」を空けておくことが大切なのです。
実験用のノートと授業用のノートの2つを作っておきましょう。というのも中学生の理科では、授業だけではなく実験も重視されるからです。授業ノートは先生が黒板に書いた内容をまとめることに使い、実験ノートは実験の流れや実験結果、実験から学んだことなどをまとめておきましょう。
1.水中の小さな生物
①動物
・自由に動きまわる
例:ゾウリムシ、ミジンコなど
②植物
・緑色で動かない
・葉緑体をもち、光合成をする
例:ミカヅキモ、アオミドロなど
③緑色で自由に動きまわる
・葉緑体をもち、光合成をする
例:ミドリムシ
2.顕微鏡の使い方
①顕微鏡と各部の名称(下図)
②顕微鏡の使い方
・1. 水平で、直射日光の当たらない、明るい場所に置く
・2. 先に接眼レンズをつけ、次に対物レンズをつける
・3. 接眼レンズをのぞきながら、反射鏡の角度を調節して視野を明るくする
・4. プレパラートをステージにおく
・5. 真横から見ながら、プレパラートと対物レンズをできるだけ近づける
・6. 接眼レンズをのぞいて、プレパラートと対物レンズを遠ざけながらピントを合わせる
③顕微鏡の倍率
・接眼レンズの倍率×対物レンズの倍率
漢字の読み方
・顕微鏡:けんびきょう
・接眼:せつがん
・対物:たいぶつ
・反射鏡:はんしゃきょう
1.花のつくり(被子植物)
①おしべ
・やくに花粉が入っている
②めしべ
・柱頭:めしべの先の部分
・子房:ふくらんでいるところ
・胚珠:子房につつまれている
※受粉:花粉が柱頭につくこと
→子房は果実、胚珠は種子になる
1’.被子植物
・胚珠が子房につつまれている植物
例:アブラナ、サクラなど
※裸子植物:子房がなく、胚珠がむき出しの植物
例:マツ、イチョウなど
↓図:花のつくり(被子植物)
2.葉のつくり
・葉脈…葉に見られる すじ のこと
・葉緑体…細胞にふくまれ、光合成を行う粒
・気孔…葉の裏側に多く見られる すきま
→蒸散を行う:気孔から水蒸気が出ていくこと
↓図:葉脈(網目状の葉と平行な葉がある)
↓図:葉のつくり(断面図を拡大)
3.茎のつくり
・道管と師管が通っている
①道管
・水や水にとけた養分の通り道
②師管
・光合成でつくられた栄養分の通り道
③維管束
・道管と師管が集まっているところ
※道管・師管は、根や葉にも通っている
↓茎の維管束(茎を輪切りにしたところ)
内側が道管、外側が師管
4.根のつくり
①主根と側根
・主根…中心の太い根
・側根…主根から生える細い根
②ひげ根
・多数のひげ状の根
↓図:根のつくり(被子植物の種類により異なる)
5.光合成
・植物が光を受けて栄養分をつくるはたらき
・葉緑体で行われる
①光合成に必要なもの3つ
・水
・二酸化炭素
・光エネルギー:日光や電灯などの光
②光合成でつくられるもの2つ
・デンプン:栄養分
・酸素
※二酸化炭素と酸素は気孔から出入りする
漢字の読み方
・被子植物:ひししょくぶつ
・花粉:かふん
・柱頭:ちゅうとう
・子房:しぼう
・胚珠:はいしゅ
・受粉:じゅふん
・果実:かじつ
・種子:しゅし
・葉脈:ようみゃく
・葉緑体:ようりょくたい
・気孔:きこう
・蒸散:じょうさん
・茎:くき
・道管:どうかん
・師管:しかん
・維管束:いかんそく
・主根:しゅこん
・側根:そっこん
・ひげ根:ひげね
・光合成:こうごうせい
・光エネルギー:ひかりエネルギー
植物のつくり
1.花のつくり(被子植物)
まずは花のつくりの図を見てみましょう。
↓図:花のつくり
ごちゃごちゃしていますが、わかるところから確認していきましょう。
花弁はいいですね。この図の青い部分。花びらのことです。
がくは花のいちばん外側にあります。花全体を支える役割があります。
次に、おしべとめしべです。
①おしべのつくり
おしべの先にはやくがあります。
やくはふくろのようになっていて、
やくの中に花粉が入っています。
②めしべのつくり
めしべは花の中央にあり、
おしべにかこまれています。
めしべの先の部分が柱頭です。
めしべの下の部分のふくらんだところを子房といいます。
さらに、子房の中には胚珠があります。
③受粉と子房・胚珠の変化
おしべの花粉がめしべの柱頭につくことを受粉といいます。
受粉すると、子房は果実になり、胚珠は種子になります。
2.葉のつくり
下の図のように、葉を見ると、すじが通っていますね。このすじのことを、葉脈といいます。
被子植物の葉脈には、網目状になっているものと、平行になっているものとがあります。
次に、葉のつくりをくわしく見ていきましょう。下の図は、葉を拡大して横から見た図です。葉の表面や内部にある1つ1つの部屋のようなものが細胞です。葉の内部の細胞には、緑色の小さな粒(つぶ)がありますね。この粒を葉緑体といいます。この葉緑体で光合成が行われます。
葉の裏側には、2つの孔辺細胞にかこまれた気孔というすきまがあります。この気孔からは、水蒸気が出ていきます。これを蒸散といいます。
気孔は葉の裏側に多くありますが、葉の表面にもあります。
維管束については、茎のつくりでくわしく確認します。
↓図:葉のつくり
3.茎のつくり
下の図は、茎を輪切りにして上から見た拡大図です。
内側を通っているのが道管、外側を通っているのが師管です。
道管は、水や水にとけた養分の通り道、師管は光合成でつくられた栄養分の通り道です。
道管は水が通るので、「水道管(すいどうかん)」と覚えておきましょう。
この図だと道管・師管は小さな○(まる)になっていますが、道管・師管とも細長いストローのようになっていて、根から茎、葉へと通っています。
道管の方が師管より少し太いです。
道管と師管をまとめて維管束といいます。
↓図:茎の維管束
4.根のつくり
被子植物の根のつくりは2種類あります。
1つは、主根と側根でできている植物です。
主根とは中心をのびる太い根のことで、
側根とは主根から生えている細い根のことです。
もう1つは、ひげ根です。
これは多数のひげ状の根が生えている根のことをいいます。
↓図:根のつくり
5.光合成
植物が日光や電灯などから受ける光エネルギーを使って、デンプンなどの栄養分をつくるはたらきを、光合成といいます。光合成は葉の細胞に多くある葉緑体で行われています。
光合成に必要なものは、光エネルギーのほかに、水と二酸化炭素です。
光合成によってつくられるのは、栄養分(デンプンなど)と酸素です。
また、光合成でつくられた栄養分は、師管を通って植物全体に運ばれていきます。
二酸化炭素と酸素は気孔から出入りします。
1.種子植物
・花がさき、種子をつくる
2.シダ植物とコケ植物
・花がさかず、種子をつくらない
↓種子植物の分類
↓双子葉類と単子葉類の違い
2.種子をつくらない植物(胞子で増える)
①シダ植物
・維管束がある
・根・茎・葉の区別がある
例:イヌワラビ、スギナ
②コケ植物
・維管束がない
・根・茎・葉の区別がない
例:ゼニゴケ、スギゴケ
漢字の読み方
・網状脈:もうじょうみゃく
・胞子:ほうし
1.種子植物
植物の分類ですが、いちばん最初に大きく分けるポイントは、「種子をつくるかどうか」です。別の言い方をすれば、「種子で増えるか」「花をさかせるか」でもいいです。
種子をつくり、種子でふえる植物が種子植物で、それがさらにいろいろ分類されていきます。
①被子植物と裸子植物
種子植物をさらにこまかく分類していきましょう。
次のポイントは、「胚珠が子房につつまれているか、いないか」です。別の言い方だと、「子房があるか、ないか」でもOKです。
「胚珠が子房につつまれている(子房がある)」のが被子植物、そうでないのが裸子植物となります。
被子植物はさらに分類が続きます。
裸子植物はこれ以上こまかい分類はしないので、ここで終わりです。。
②双子葉類と単子葉類
被子植物をさらにこまかく分類していきます。
被子植物は、双子葉類と単子葉類に分かれます。
分類のポイントは、名前の通り、「子葉が2枚か1枚か」という点です。子葉が2枚なら双子葉類、1枚なら単子葉類となります。
また、子葉以外にも区別するポイントがありまして、根・葉脈・維管束(茎)も双子葉類と単子葉類では異なっています。
根については、双子葉類は主根と側根、単子葉類はひげ根と決まっています。
葉脈は、双子葉類は網目状になっています。これを網状脈ともいいます。一方、単子葉類は平行脈。葉脈が平行になっています。
茎を輪切りにしたときの維管束を見てみると、双子葉類はきれいな輪状(輪の形)になっています。単子葉類の維管束は、ばらばら。ちらばっています。
双子葉類はさらに分かれます。単子葉類はここで終わりです。
③合弁花類と離弁花類
双子葉類のうち、花弁がくっついているのが合弁花類、離れているのが離弁花類です。これも漢字を見れば意味がわかると思います。
ここまで、種子植物の分類について説明しました。
下の図で改めて確認をしておいてください。頭の中で枝分かれしていくイメージを持つようにすると覚えやすいですよ。
双子葉類と単子葉類についても、イラストによる分類をのせておきます。
↓種子植物の分類
↓双子葉類と単子葉類の違い
2.種子植物以外の植物
種子をつくらない(種子で増えない、花がさかない)植物も確認しておきましょう。
分類のポイントは、「根・茎・葉の区別があるか、ないか」「維管束があるか、ないか」です。
「根・茎・葉の区別がある。維管束がある」のがシダ植物、「根・茎・葉の区別がない。維管束がない」のがコケ植物となります。
シダ植物・コケ植物とも、種子ではなく胞子で増えます。
1.物体と物質
①物体
・物の形や外観に注目した呼び方
例)コップ
②物質
・物体をつくる材料に注目した呼び方
例)ガラス、プラスチックなど
※コップ(物体)の材料となるもの
2.金属
①金属の例
・金、銀、銅、鉄、亜鉛、
アルミニウム、マグネシウムなど
②金属の特徴
・金属光沢をもつ
・電気をよく通す
・引っ張ると細くのびる
・たたくとのびてうすく広がる
・熱をよく伝える
※磁石につくとは限らない
→鉄はつくが、銅はつかない
③非金属
・金属以外の物質
例)プラスチック、ガラス、木、ゴムなど
3.有機物と無機物
①有機物
・炭素をふくむ物質
・燃えると水と二酸化炭素ができる
例)砂糖、エタノール、ロウ
②無機物
・炭素をふくまない物質
例)食塩、金属、二酸化炭素など
※二酸化炭素は炭素をふくむが無機物
4.プラスチック
・石油を原料とする
・有機物である
・電気を通さない
5.密度
・物質1cm3 あたりの質量
・単位:g/cm3
・求め方:密度=質量÷体積
漢字などの読み方
・物体:ぶったい
・物質:ぶっしつ
・亜鉛:あえん
・金属光沢:きんぞくこうたく
・非金属:ひきんぞく
・有機物:ゆうきぶつ
・無機物:むきぶつ
・密度
・g/cm3:グラム まい りっぽうセンチメートル
※単位がそのまま計算式になっている(/は分数を示す横棒)
→「cm3 分の g」(体積 分の 質量)
→「g ÷ cm3」(体積 ÷ 質量)
1.物体と物質
物体は、物の形や外観に注目した呼び方。
物質は、物体をつくる材料に注目した呼び方。
これだけだとちょっと難しいかもしれません。
理解しながら覚えるためのコツとしては、
「○○は、××でできている」と言ったときの、○○が物体、××が物質です。
「コップは、ガラスでできている」ので、コップが物体、ガラスが物質、となります。プラスチックでできているのであれば、プラスチックが物質ですね。
2.金属と非金属
金属には、金、銀、銅、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムなどさまざまな種類があります。
これらの金属には共通した特徴があって、みがくとかがやいてみえます(金属光沢をもつ)。
また、電気をよく通す、引っ張ると細くのびる、たたくとのびてうすく広がる、熱をよく伝えるなどの特徴があります。
これらは、すべての金属に共通した特徴です。これらの条件をすべて満たすのが金属です。
なお、磁石にくっつく金属は限られていて、上に列挙した金属の中で磁石につくのは鉄だけです。
磁石につかない金属も多いので注意しましょう。
非金属は金属以外の物質で、プラスチック、ガラス、木、ゴムなどがあります。
ちなみに、えんぴつのしんは電気を通しますが、金属の条件を全部は満たさないので非金属となります。
3.有機物と無機物
有機物は炭素をふくむ物質。無機物は炭素をふくまない物質です。
有機物は、燃やすと水と二酸化炭素ができるのが特徴です。砂糖、エタノール、ロウなどがあります。
無機物には食塩、金属、二酸化炭素などがあります。二酸化炭素には炭素がふくまれていますが、無機物に分類されるので注意しましょう。一酸化炭素も無機物です。
4.プラスチック
プラスチックについて、簡単に特徴をおさえておきます。
プラスチックは石油を原料としてつくられる有機物です。金属ではなく、電気も通しません。
5.密度
理科では計算問題がけっこう出てきます。最初に出てくるのが密度です。
密度とは物質1cm3 あたりの質量のことで、物質によって決まっています。
密度は「質量÷体積」で求めることができます。
単位はg/cm3です。「グラムまい立法センチメートル」と読みます。
ちなみに、単位そのものが計算式を表しています。g/cm3というのは、g÷cm3、つまり質量÷体積。あるいは「体積 分の質量」ということです(/は分数の横棒)。
※ついでのついでの話
速さを求める公式も、速さの単位さえ分かっていれば大丈夫です。
速さの単位が「km/h(時)」「m/秒」などとなっていることから、速さ=距離(道のり)÷時間とすぐにわかりますね。あとは式を変形すれば、距離の求め方・時間の求め方も出てきます。
「はじき(みはじ)の法則」とかありますが、無理に暗記する必要はないのです。
漢字の読み方
・物体:ぶったい
・物質:ぶっしつ
・亜鉛:あえん
・金属光沢:きんぞくこうたく
・非金属:ひきんぞく
・有機物:ゆうきぶつ
・無機物:むきぶつ
1.さまざまな気体と特徴
①酸素
・物質を燃やすはたらきがある
②二酸化炭素
・石灰水を白くにごらせる
③水素
・空気中で燃えて水ができる
④アンモニア
・鼻をさすようなにおいがある
・水によく溶ける
→水溶液はアルカリ性
2.気体の集め方
①水上置換法
・水にとけにくい気体を集める方法
例)酸素、水素
↓図:水上置換法
②上方置換法
・水にとけやすく、空気より軽い気体を集める方法
例)アンモニア
↓図:上方置換法
③下方置換法
・水にとけやすく、空気より重い気体を集める方法
例)二酸化炭素
↓図:下方置換法
漢字の読み方
・石灰水:せっかいすい
・水上置換法:すいじょうちかんほう
・上方置換法:じょうほうちかんほう
・下方置換法:かほうちかんほう
1.水溶液の性質
①溶液を構成するもの
・溶質…液体にとけている物質
例)砂糖水の砂糖
・溶媒…溶質をとかしている液体
例)砂糖水の水
・溶液…溶質が溶媒にとけた液体全体のこと
→水溶液…溶媒が水の溶液
例)砂糖水そのもの
②水溶液の特徴
・透明である
・全体のこさが均一である
※どの部分も同じこさ
2.飽和水溶液
・物質が限度までとけている水溶液
・物質がそれ以上とけない状態の水溶液
①溶解度
・100gの水に物質をとかし、飽和水溶液になったときにとけている物質の質量
※100gの水にとける物質の質量
・溶解度は物質によって決まっている
・水の温度が高くなるほど、溶解度も高くなる
(より多くの物質をとかすことができる)
②溶解度曲線
・水の温度ごとの溶解度をグラフにしたもの
↓グラフ:溶解度曲線
③結晶
・いくつかの平面で囲まれている、規則正しい形をした固体
・物質によって結晶の形は決まっている
④再結晶
・水にとかした固体の物質を、再び結晶として取り出すこと
↓グラフ:再結晶
上のグラフの見方
・100gの水にある物質をとかそうとしたとき、水が10℃であれば20g、40℃であれば60gまでとかすことができる。
・水の温度を下げると、とけきれなくなった物質が結晶となって出てくる(再結晶)。
・このグラフでは、40℃の飽和水溶液を10℃まで下げると、とけていた60gのうち40gがとけきれなくなって結晶となって出てくる。
漢字の読み方
・溶質:ようしつ
・溶媒:ようばい
・溶液:ようえき
・水溶液:すいようえき
・飽和水溶液:ほうわすいようえき
・溶解度:ようかいど
・結晶:けっしょう
・再結晶:さいけっしょう
1.状態変化
・物質が温度によって固体・液体・気体と変化すること
・水は、固体だと氷、液体だと水、気体だと水蒸気
・体積は変化するが、質量は変化しない
2.状態変化と温度
①融点
・固体がとけて液体になるときの温度
②沸点
・液体が沸とうして気体になるときの温度
ⅰ.純粋な物質(1種類の物質でできている)
・融点・沸点は一定(同じ)
例:水、酸素、二酸化炭素、エタノールなど
↓グラフ:物質による沸点の違い
・水は100℃、エタノールは78℃の沸点に達すると、沸とうを始める(気体になり始める)
・沸とう中の温度は一定で変わらなくなる(水は100℃、エタノールは78℃のまま)
ⅱ.混合物(いくつかの物質が混じり合った物)
・融点・沸点は一定でなく、時間とともに変化する
例:炭酸飲料、食塩水、空気など
↓グラフ:水とエタノールの混合物の加熱
・エタノールの沸点78℃で沸とうが始まり、沸とう中も温度は変化する
・はじめはエタノールを多くふくむ物質が出てくる。
・エタノールがなくなり水だけになると、水の沸点100℃で一定になる
3.蒸留
・液体を沸とうさせて気体にし、それを冷やして再び液体にして取り出すこと
→混合物にふくまれる物質の沸点の違いを利用して、混合物を純粋な物質に分離することができる
漢字の読み方
・融点:ふってん
・沸点:ふってん
・混合物:こんごうぶつ
・蒸留:じょうりゅう
化学変化(化学反応)
・もとの物質とは別の物質ができる変化のこと
1.分解
・ある物質が2種類以上の物質に分かれる変化
・もとの物質とは性質が違う
※化学変化の1つ
①熱分解
・物質を加熱して起こる分解
例)炭酸水素ナトリウム、酸化銀の熱分解
②電気分解
・電流を流すことで起こる分解
例)水、塩化銅の電気分解
2.分解の例(実験)
①熱分解の例
ⅰ.炭酸水素ナトリウム
・炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水
↓図:炭酸水素ナトリウムの熱分解
結果
・熱した試験管に残った白い個体は、炭酸ナトリウム
・熱した試験管の内側についた液体を塩化コバルト紙につけると、赤くなった
→この液体は水
・石灰水は白くにごった→二酸化炭素が発生した
以上のことから、炭酸水素ナトリウムを熱すると、炭酸ナトリウムと二酸化炭素と水に分解されたことがわかった。
ⅱ.酸化銀
・酸化銀→銀+酸素
・酸化銀を熱すると、銀と酸素に分解される
※酸化銀:黒色で電気を通さない
→銀:白色で電気をよく通す
②電気分解の例
・水→水素+酸素
↓図:水の電気分解
結果
・陰極(-極):水素が発生
→火のついたマッチを近づけると、気体がポンと音を立てて燃える
・陽極(+極):酸素が発生
→火のついた線香を近づけると、線香は炎を上げて燃える
※気体の体積比は
水素:酸素=2:1
1.原子
・物質をつくっている最小の粒子
①原子の性質
・それ以上分割することができない
・原子の種類によって質量や大きさが決まっている
・他の種類の原子に変わることはなく、なくなることもなく、新しくできることもない
②原子の記号
・アルファベット1文字か2文字の記号で表す
例
・H:水素
・O:酸素
・C:炭素
・N:窒素
・S:硫黄
・Cl:塩素
※Clのlはエル(Lの小文字)です
・Fe:鉄
・Cu:銅
・Ag:銀
・Na:ナトリウム
・Mg:マグネシウム
・Al:アルミニウム
・Ca:カルシウム
2.分子
・いくつかの原子が結びついた粒子
・物質の性質を示す最小の粒子
例:水素は原子が2個結びついて分子をつくっている
水は水素原子2個と酸素原子1個が結びついて分子をつくっている
3.物質の分類
①純粋な物質(純物質)
ⅰ.単体
・1種類の原子だけでできている物質
例:酸素、水素、鉄
ⅱ.化合物
・2種類以上の原子でできている物質
例:水、二酸化炭素、酸化銅
②混合物
・2種類以上の物質が混じりあったもの
例:食塩水、空気
4.化学式
・原子の記号と数字を用いて物質を表したもの
①分子をつくる物質
ⅰ.単体
・H2:水素分子
・O2:酸素分子
ⅱ.化合物
・CO2:二酸化炭素分子
・NH3:アンモニア分子
・H2O:水分子
※気体は分子をつくることが多い。水も
②分子をつくらない物質
ⅰ.単体
・Cu:銅
・Fe:鉄
ⅱ.化合物
・CuO:酸化銅
・NaCl:塩化ナトリウム(食塩)
※金属をふくむ物質は、分子をつくらないことが多い
5.化学反応式
・化学式を用いて、化学変化を表した式
例
①水の電気分解
・2H2O→2H2+O2
②酸化銅の分解
・2CuO→2Cu+O2
【補足解説】
以下の手順で考え、正しい化学反応式を作ろう!
化学反応式では、矢印の左右(両辺)の原子の種類と数が同じになるようにする。
①水の電気分解
・H2O → H2 + O
確かに左右で原子の種類と数は同じだけど
(水素原子2個、酸素原子1個)、
酸素Oは分子をつくる物質なので
O2にしないといけない
(Oだけでは存在できない)
・H2O → H2 + O2
これだと左右の原子の数が合わない。
左の酸素原子は1つ、右の酸素原子は2つ。
なので、左のH2Oを2つにする
・H2O + H2O → H2 + O2
左右とも、酸素原子は2つになった。
今度は、水素原子が合わない
(左は4つ、右は2つ)。
なので、右のH2を増やす
・H2O + H2O → H2 + H2 + O2
これなら、左右ともに水素原子が4つ、酸素原子が2つとなり、OK!
でもまだ完成ではない。数学でy+yは2yと表すように、
H2O+H2Oは2H2O、H2+H2は2H2と表さないといけない
・2H2O → 2H2 + O2
これで完成!
②酸化銅の分解
・CuO → Cu + O
①で見た通り、OはO2にしないとダメ。
銅Cuは分子をつくらないので、
CuのままでOK
・CuO → Cu + O2
すると今度は、左右で酸素の原子の数が合わない(左は1つ、右は2つ)。
・2CuO → Cu + O2
左右の酸素の数は合ったけど、銅の数が合わない(左は2つ、右は1つ)。
※2CuO2ではないの?
…酸化銅はCuOであって、CuO2と書くと間違い。2CuOはCuOが2つ(Cu2つとO2つ)ということ。
(Cu + O + Cu + O → CuO + CuO → 2CuO)
・2CuO → 2Cu + O2
これでOK!
左右とも、銅原子2つ、酸素原子2つになりました。
慣れるまでは、こういう手順をふんで、正しい化学反応式を書けるようにしよう。
実際の化学反応式を見たら、自分で再現できるように練習する!
漢字などの読み方
・原子:げんし
・粒子:りゅうし
・窒素:ちっそ
・硫黄:いおう
・Cl:シーエル
・Fe:エフイー
・Cu:シーユー
・Ag:エージー
・Na:エヌエー
・Mg:エムジー
・Al:エーエル
・Ca:シーエー
・分子:ぶんし
・CO2:シーオーツー
・NH3:エヌエイチスリー
・H2O:エイチツーオー
・CuO:シーユーオー
・NaCl:エヌエーシーエル
1.化合
・2種類以上の物質が結びついて、別の新しい物質ができる化学変化のこと
※物質A+物質B→物質C
※分解の反対の動き
①化合物とは
・化合によってできた物質のこと
・化合する前の物質とは性質も違う
②化合の例と化学反応式
ⅰ.鉄と硫黄の化合
・鉄+硫黄→硫化鉄
・化学反応式:Fe+S → FeS
・鉄と硫黄が化合し、化合物の硫化鉄ができた
ⅱ.銅と硫黄の化合
・銅+硫黄→硫化銅
・化学反応式:Cu+S → CuS
・銅と硫黄が化合し、化合物の硫化銅ができた
2.酸化
・物質が酸素と化合すること(化合の1つ)
・金属がさびるのも酸化
※燃焼…激しく光や熱を出して酸化すること
①酸化物
・酸化によってできた物質
・酸化物はもとの物質に比べ、化合した酸素の分だけ質量が増える
②金属の酸化
ⅰ.鉄:燃焼する
・黒色の酸化鉄ができる
※スチールウール(鉄)に火をつけると、酸化(燃焼)して酸化鉄になる
ⅱ.マグネシウム:燃焼する
・白色の酸化マグネシウムができる
・化学反応式:2Mg+O2 → 2MgO
ⅲ.銅:燃焼しない
・黒色の酸化銅ができる
・化学反応式:2Cu+O2 → 2CuO
③金属以外の酸化
ⅰ.水素
・水素と酸素が化合すると、水ができる
・水素は音を出して燃えるので、燃焼して酸素と化合している
・2H2+O2 → 2H2O
※逆に、水を分解すると、水素と酸素ができる
ⅱ.炭素
・炭素と酸素が化合すると、二酸化炭素が出来る
・C+O2 → CO2
3.還元
・酸化物から酸素を取り除く化学変化
・還元が起こると、同時に酸化も起こる
①酸化銅の還元:炭素を使った場合
・酸化銅+炭素 → 銅+二酸化炭素
・2CuO+C → 2Cu+CO2
※酸化銅が還元されて銅となり、炭素が酸化して二酸化炭素となった
②酸化銅の還元:水素を使った場合
・酸化銅+水素 → 銅+水
・CuO+H2 → Cu+H2O
※酸化銅が還元されて銅となり、水素が酸化して水となった
漢字の読み方
・化合:かごう
・化合物:かごうぶつ
・硫化鉄:りゅうかてつ
・硫化銅:りゅうかどう
・酸化:さんか
・燃焼:ねんしょう
・還元:かんげん
1.質量保存の法則
・化学変化が起こる前と後で、物質全体の質量は変化しないこと
①沈殿ができる反応
例:うすい硫酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると、硫酸バリウムの白色の沈殿ができる
→反応の前後で質量は変化しない
②気体が発生する反応
例:うすい塩酸と炭酸水素ナトリウムを混ぜると、二酸化炭素が発生する
→密閉した容器内では、質量は変化しない
容器を密閉していないと、質量は減る(理由:発生した二酸化炭素が空気中に出ていくため)
③金属の酸化
例:銅を熱すると酸化銅になる
→密閉した容器内では、質量は変化しない
容器を密閉していないと、質量は増える(銅と結びついた酸素の分だけ質量が増える)
2.化学変化と質量の比
・化学変化が起こる物質の質量比は一定
→グラフに表すと、原点を通る直線になる(比例のグラフ)
↓酸素と銅(赤)、マグネシウム(青)の質量比
①酸化銅の質量比(グラフ:赤)
・銅:酸素=4:1で化合する
銅:酸化銅=4:5
酸素:酸化銅=1:5
例
・銅4gを加熱すると、酸素1gと化合(酸化)して、酸化銅5gができる
・銅8gを加熱すると、酸素2gと化合(酸化)して、酸化銅10gができる
②酸化マグネシウムの質量比(グラフ:青)
・マグネシウム:酸素=3:2で化合する
マグネシウム:酸化マグネシウム=3:5
酸素:酸化マグネシウム=2:5
例
・マグネシウム3gを加熱すると、酸素2gと化合(酸化)して、酸化マグネシウム5gができる
・マグネシウム6gを加熱すると、酸素4gと化合(酸化)して、酸化マグネシウム10gができる
3.化学変化と熱
①発熱反応
・化学変化をするとき、周囲に熱を出す反応(温度が上がる)
例:鉄が酸化して酸化鉄となるとき、熱くなる
→化学かいろに利用(製品名:ホッカイロなど)
②吸熱反応
・化学変化をするとき、周囲の熱をうばう反応(温度が下がる)
例:水酸化バリウムと塩化アンモニウムが反応して、アンモニアが発生するとき
漢字の読み方
・沈殿:ちんでん
・密閉:みっぺい
・発熱反応:はつねつはんのう
・吸熱反応:きゅうねつはんのう
1.細胞のつくり
①細胞とは
・生物のからだをつくる小さな部屋
※動物と植物で細胞のつくりが異なる
②動物と植物の細胞に共通したつくり
ⅰ.核
・1つの細胞に1つずつある
ⅱ.細胞質
・核のまわりをとりまく部分
※特に何もない(ように見える)部分です
ⅲ.細胞膜
・細胞質の最も外側にある、うすい膜
↓図:動物の細胞
③植物の細胞にのみ見られるつくり
ⅳ.細胞壁
・細胞膜の外側をかこむ、じょうぶな仕切り
・細胞の形を維持し、植物のからだを支えるのに役立っている
ⅴ.葉緑体
・緑色で粒状のもの
・ここで光合成が行われる
ⅵ.液胞
・細胞の活動によってできた不要物や貯蔵物質をふくむ液をたくわえたふくろ
↓図:植物の細胞
2.単細胞生物
・からだが1つの細胞だけでできている生物
・例:ゾウリムシ、アメーバ、ミドリムシ、ミカヅキモなど
3.多細胞生物
・からだが多くの細胞でできている生物
・例:ミジンコ、サクラ、ヒトなどたくさん
①多細胞生物のからだの成り立ち
ⅰ.組織
・形やはたらきが同じ細胞が集まったもの
例:植物の葉の表皮組織
ⅱ.器官
・いくつかの組織が集まってできている
→決まったはたらきをする部分
例:植物の葉
ⅲ.個体
・いくつかの器官が集まってできている
例:植物そのもの(その植物全体)
※細胞→組織→器官→個体
(細胞が集まり組織になり、組織が集まり器官になり、器官が集まり個体になる)
漢字の読み方
・細胞:さいぼう
・核:かく
・細胞質:さいぼうしつ
・細胞膜:さいぼうまく
・細胞壁:さいぼうへき
・葉緑体:ようりょくたい
・液胞:えきほう
1.消化とは
・食物中の成分を分解し、からだの中に吸収しやすい形に変化させること
①消化管
・口から始まり、食道、胃、小腸、大腸などを経て肛門で終わる1本の長い管のこと
※消化器官:消化管を構成する1つ1つの器官
→口、食道、胃、小腸、大腸、肛門
②消化液
・食物を消化するはたらきをもつ液
・消化酵素がふくまれ、食物中の栄養分を分解する(消化)
2.各器官と消化液のはたらき
①口
・だ液せんでだ液がつくられ、口の中に分泌する
・消化酵素のアミラーゼをふくむ
→デンプンを分解する
②胃
・胃液が分泌される
→タンパク質を分解する
③胆のう
・胆汁が肝臓でつくられ、胆のうにためられている
・胆汁に消化酵素はふくまれていないが…
→脂肪の消化を助ける
④すい臓
・すい液が十二指腸に分泌される
・デンプン、タンパク質、脂肪を分解する
⑤小腸
・デンプン、タンパク質を分解する
※デンプン→ブドウ糖になる
タンパク質→アミノ酸になる
脂肪→脂肪酸とモノグリセリドになる
3.小腸のつくり
①柔毛:栄養分を吸収する
・小腸の壁には多数のひだがある
・ひだには多数の柔毛がある
→表面積が非常に大きくなり、養分を吸収しやすい
※脂肪とモノグリセリドは柔毛で吸収され再び脂肪になる(→柔毛内のリンパ管へ)
②柔毛の中
・毛細血管とリンパ管が通っている
→毛細血管:ブドウ糖とアミノ酸を吸収し、肝臓へ運ぶ
リンパ管:柔毛で合成された脂肪を全身に運ぶ
4.だ液のはたらきを確かめる実験
実験手順
①試験管Aにデンプン溶液とだ液を入れる
試験管Bにデンプン溶液を水を入れる
②試験管A・Bを約40℃の湯につけ、しばらく置く
※理由:消化酵素(だ液にふくまれている)は体温に近い温度でよくはたらくから
③ヨウ素液とベネジクト液で反応を調べる(ベネジクト液は加えた後に加熱する)
※ヨウ素液→デンプンがあれば赤紫色に変化
ベネジクト液→糖があれば、加熱すると赤褐色に変化
結果
ⅰ.試験管A(デンプン+だ液)
・ヨウ素液:変化なし
→理由:だ液(の消化酵素)のはたらきにより、デンプンが分解された(デンプンはなくなった)から
・ベネジクト液:赤褐色の沈殿が生じた
→理由:だ液(の消化酵素)のはたらきにより、デンプンが分解され糖に変化したから
ⅱ.試験管B(デンプン+水)
・ヨウ素液:青紫色に変化した
→理由:デンプンは分解されず、そのまま残っているから
・ベネジクト液:変化なし
→理由:デンプンは分解されず、糖はつくられていないから
漢字の読み方
・消化管:しょうかかん
・消化液:しょうかえき
・消化酵素:しょうかこうそ
・だ液:だえき
・胃液:いえき
・胆のう:たんのう
・胆汁:たんじゅう
・肝臓:かんぞう
・脂肪:しぼう
・柔毛:じゅうもう
・毛細血管:もうさいけっかん
・リンパ管:りんぱかん
1.呼吸
①細胞による呼吸(細胞呼吸)
・細胞内で、酸素を使ってエネルギーをとり出す活動
※栄養分(ブドウ糖など)からエネルギーがとり出されると、水と二酸化炭素ができる
(酸素+栄養分→(細胞呼吸)→水+二酸化炭素)
②肺による呼吸(肺呼吸)
ⅰ.肺呼吸とは
・体外から酸素をとりこみ、二酸化炭素を体外に放出する
・ろっ骨・横隔膜のはたらきで呼吸運動が行われる
※肺には筋肉がない
ⅱ.肺胞
・気管支の先にある小さなふくろ
・二酸化炭素と酸素の交換(ガス交換)を行う
・肺の内部には多くの肺胞がある
→表面積が大きくなり、効率よくガス交換が行われる
2.排出
・不要物を体外に出すはたらき
※不要物:二酸化炭素、アンモニアなど
①二酸化炭素の排出
・呼吸で肺から排出される
②アンモニアの排出
・肝臓で無害な尿素に変わる
→じん臓で尿素や余分な水分などをこしとり、尿をつくる
→ぼうこうにためられ、体外に排出
漢字の読み方
・肺呼吸:はいこきゅう
・横隔膜:おうかくまく
・肺胞:はいほう
・肝臓:かんぞう
・尿素:にょうそ
1.血液の循環
①血管と血液
ⅰ.動脈
・心臓から送り出された血液が流れる血管
・動脈血…酸素を多くふくむ血液。あざやかな赤色
ⅱ.静脈
・心臓にもどる血液が流れる血管
・静脈血…二酸化炭素を多くふくむ血液。黒ずんだ赤色
②血液の循環経路
ⅰ.肺循環
・心臓→肺→心臓にもどる
※肺で二酸化炭素を放出し、酸素を受け取る
ⅱ.体循環
・心臓→体の各部分→心臓にもどる
※全身の細胞に酸素や栄養分を与え、二酸化炭素・不要物を受け取る
2.心臓のつくり
・4つの部屋:右心房、右心室、左心房、左心室
※左心室の壁は厚い筋肉がある:全身に血液を送り出すため
↓図:心臓のつくり
↓図:心臓と血液の循環
・全身から:大静脈
・肺へ:肺動脈
・全身へ:大動脈
・肺から:肺静脈
3.血液のはたらき
①血液の成分
ⅰ.赤血球
・ヘモグロビンをふくむ
→酸素と結びついて、全身にはこぶ
ⅱ.白血球
・からだに入ってきた細菌などから からだを守る
ⅲ.血小板
・出血したときに、血液を固まらせるはたらきがある
ⅳ.血しょう
・栄養分や不要物(二酸化炭素など)をはこぶ液体
②組織液
・血しょうが毛細血管からしみ出て、細胞のまわりを満たしている液
漢字の読み方
・動脈血:どうみゃくち
・静脈血:じょうみゃくち
・肺循環:はいじゅんかん
・体循環:たいじゅんかん
・右心房:うしんぼう
・右心室:うしんしつ
・左心房:さしんぼう
・左心室:さしんしつ
・赤血球:せっけっきゅう
・白血球:はっけっきゅう
・血小板:けっしょうばん
・血しょう:けっしょう
・組織液:そしきえき
1.感覚器官
・外界からの刺激を受けとる器官のこと
・目、鼻、舌、耳、皮膚などがある
①目
・光の刺激を受けとる感覚器官
・光は、水晶体(レンズ)を通り、網膜の上に像をつくる
ⅰ.虹彩
・目の中に入る光の量を調節する
ⅱ.水晶体(レンズ)
・光を屈折させ、網膜上に像をつくる
ⅲ.網膜
・光の刺激を受けとり、像をつくる
②耳
・音の刺激を受けとる感覚器官
・音の刺激(振動)は鼓膜に伝わり、耳小骨を通してうずまき管に伝わる
ⅰ.鼓膜
・音をとらえて振動する
ⅱ.耳小骨
・音を伝える骨
2.神経系
①中枢神経
・脳とせきずいがある
※多くの神経が集まっている
②末しょう神経
・中枢神経から出て、からだのすみずみまで広がっている神経
・感覚神経、運動神経などがある
ⅰ.感覚神経
・感覚器官(目、皮膚など)で受けとった刺激を、中枢神経(脳・せきずい)に伝える神経
ⅱ.運動神経
・中枢神経(脳・せきずい)からの信号を、運動器官(筋肉など)に伝える神経
※運動器官…筋肉など、運動のためにからだを動かす器官
3.刺激~反応の流れ
①刺激が脳に伝わるまで
・刺激→感覚器官→感覚神経→せきずい→脳
②脳から命令が出されて反応するまで
・脳→せきずい→運動神経→運動器官→反応
4.反射
・ある一定の刺激に対して、無意識に起こる反応
・刺激が脳に伝わる前にせきずいから命令が出される
・緊急時など危険から身を守ることに役立つ
例)熱いものにふれた手をすばやく引っこめる
・刺激→感覚器官→感覚神経→せきずい→運動神経→運動器官→反応
↑脳に刺激が届く前に反応が起こる
5.運動のしくみ
①骨格
・多くの骨がつながって、からだを支えている
②関節
・骨と骨をつなぐ部分にある
・ここでからだを曲げることができる
③けん
・骨と筋肉をつないでいる
漢字の読み方
・皮膚:ひふ
・虹彩:こうさい
・水晶体:すいしょうたい
・屈折:くっせつ
・網膜:もうまく
・鼓膜:こまく
・耳小骨:じしょうこつ
・中枢神経:ちゅうすうしんけい
・末しょう神経:まっしょうしんけい
・反射:はんしゃ
1.セキツイ動物
・背骨のある動物のこと
・5種類:魚類、両生類、ハチュウ類、鳥類、ホニュウ類
↓セキツイ動物の分類
②セキツイ動物の呼吸のしかた
ⅰ.えら呼吸
・水中で、えらで行う呼吸
・魚類
※両生類の幼生(子)も、おもにえらで呼吸
ⅱ.肺呼吸
・肺で行う呼吸
・ハチュウ類、鳥類、ホニュウ類
※両生類の成体は、肺呼吸と皮ふ呼吸を行う
③セキツイ動物のうまれ方(ふえ方)
ⅰ.卵生
・子が卵からうまれる
・魚類、両生類、ハチュウ類、鳥類
※ホニュウ類以外は卵生
ⅱ.胎生
・子が母体内である程度育ってからうまれる
・ホニュウ類のみ
④セキツイ動物の体温
ⅰ.変温動物
・外界の温度の変化にともなって体温も変化する動物
・魚類、両生類、ハチュウ類
ⅱ.恒温動物
・外界の温度が変化しても体温がほぼ一定の動物
・鳥類、ホニュウ類
2.無セキツイ動物
・背骨のない動物
おもな無セキツイ動物
①節足動物
ⅰ.昆虫類
・からだが頭部・胸部・腹部の3つに分かれている
・からだ・あしに節(ふし)がある
・胸部にあしが6本、羽が4枚ついている
例:セミ、チョウ、ハチなど
※クモは節足動物だが昆虫類ではない
ⅱ.甲殻類
・例:エビ、カニ、ダンゴムシなど
②軟体動物
・内臓を外とう膜がおおっている
・からだ・あしに節(ふし)がない
・例:イカ、マイマイ、アサリなど
3.生物の進化
①進化
・生物が長い年月をかけて変化すること
・例:水中生活から陸上生活へ。えら呼吸から肺呼吸へ
②相同器官
・形やはたらきは異なるが、骨格の基本的な構造が同じ器官
→進化の証拠になる
例:コウモリのつばさ・クジラのひれ・ヒトの手
漢字の読み方
・魚類:ぎょるい
・両生類:りょうせいるい
・鳥類:ちょうるい
・卵生:らんせい
・胎生:たいせい
・変温動物:へんおんどうぶつ
・恒温動物:こうおんどうぶつ
・肺呼吸:はいこきゅう
・節足動物:せっそくどうぶつ
・昆虫類:こんちゅうるい
・頭部:とうぶ
・胸部:きょうぶ
・腹部:ふくぶ
・甲殻類:こうかくるい
・軟体動物:なんたいどうぶつ
・外とう膜:がいとうまく
・相同器官:そうどうきかん
ポイント
すでに学習した水溶液や電気分解の話をよりくわしく学びます。
電気を通す水溶液は、実は陽イオンと陰イオンに分かれていること。
電気分解は、その水溶液中の陽イオン・陰イオンが原子にもどること。
そして、それらのカギをにぎるのは、電子の増減です。
1.原子の構造とイオン
①原子の構造
ⅰ.原子核
・原子の中心にある
・+(プラス)の電気をもっている
※原子核は、陽子(+の電気をもつ)と中性子(電気をもたない)からできている
ⅱ.電子
・原子核のまわりにある
・-(マイナス)の電気をもっている
※原子全体では+と-が打ち消しあい、電気をもたない
↓原子の構造
②イオン
・電気を帯びた原子のこと
ⅰ.陽イオン
・原子が電子を失い、+の電気を帯びたもの
ⅱ.陰イオン
・原子が電子を受け取り、-の電気を帯びたもの
↓図:イオンのでき方
※原子によって、陽イオンになるもの、陰イオンになるもの、失う電子の数、受け取る電子の数は決まっている
③イオンの例
陽イオン
ⅰ.水素イオン
・水素原子が電子を1個失い、+の電気を帯びたもの
・イオン式:H+
※読み方:エイチプラス
ⅱ.銅イオン
・銅原子が電子を2個失い、+の電気を帯びたもの
・イオン式:Cu2+
※読み方:シーユーにプラス
陰イオン
ⅰ.水酸化物イオン
・酸素原子と水素原子が結合した状態で電子を1個受け取り、-の電気を帯びたもの
・イオン式:OH-
※読み方:オーエイチマイナス
ⅱ.塩化物イオン
・塩素原子が電子を1個受け取り、-の電気を帯びたもの
・イオン式:Cl-
※読み方:シーエルマイナス
※「塩素イオン」とは言わないので注意
ⅲ.硫酸イオン
・硫黄原子1個と酸素原子4個が結合した状態で電子を2個受け取り、-の電気を帯びたもの
・イオン式:SO42-
※読み方:エスオーフォーにマイナス
2.水溶液とイオン
①電解質
・水に溶けるとイオンになり、電流が流れる物質
(電離する物質)
例:塩化ナトリウム(食塩)、塩化水素、水酸化ナトリウムなど
・電離…電解質が水に溶けて、陽イオンと陰イオンに分かれること
↓水溶液とイオンのようす
①’ 電離の例と電離式
ⅰ.塩化ナトリウム水溶液(食塩水)
・電離式:NaCl → Na+ + Cl-
・意味:電解質の塩化ナトリウム(食塩)は、水に溶けて電離し、ナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl-に分離した
(塩化ナトリウム水溶液には、Na+とCl-がふくまれている)
ⅱ.水酸化ナトリウム水溶液
・電離式:NaOH → Na+ + OH-
・意味:電解質の水酸化ナトリウムは、水に溶けて電離し、ナトリウムイオンNa+と水酸化物イオンOH-に分離した
(水酸化ナトリウム水溶液には、Na+とOH-がふくまれている)
ⅲ.塩酸
・電離式:HCl → H+ + Cl-
・意味:電解質の塩化水素は、水に溶けて電離し、水素イオンH+と塩化物イオンCl-に分離した
(塩酸(塩化水素水溶液)には、H+とCl-がふくまれている)
※塩酸は、塩化水素が水に溶けたもの(塩化水素の水溶液)
②非電解質
・水に溶けても電離せず(イオンにならず)、電流が流れない物質
例:砂糖、エタノールなど
3.電気分解とイオン
①電気分解(これまでに習った内容)
・塩酸の電気分解の化学反応式は
2HCl → H2 + Cl2
↓実際に起こっていること
②電気分解のしくみ(イオンのようす)
・塩酸は電解質なので、水溶液中では陽イオンの水素イオンH+と、陰イオンの塩化物イオンCl-に分かれている
・電気分解を始めると、陰イオンは陽極(+極)に、陽イオンは陰極(-極)に引き寄せられる
・陰イオンの塩化物イオンCl-は電子を失い(陽極に電子をわたす)、塩素原子Clになる
陽イオンの水素イオンH+は電子を受け取り(陰極から電子を受け取る)、水素原子Hになる
・塩素原子は2個結びついて、塩素分子Cl2になる
水素原子は2個結びついて、水素分子H2になる
↓塩酸の電気分解と電子・イオン
4.電池(化学電池)
・化学変化によって、物質の化学エネルギーを電気エネルギーに変えて取り出す装置
①電池のしくみ
・電解質の水溶液の中に2種類の金属板を電極として入れ、導線でつなぐと電流が流れる
②電池の例
・塩酸に、亜鉛板と銅板を入れて導線でつなぐ
→亜鉛板が-極、銅板が+極になる
・電子は亜鉛板から銅板に移動する(電流の発生)
漢字の読み方
・原子核:げんしかく
・陽子:ようし
・陽イオン:ようイオン
・陰イオン:いんイオン
・電解質:でんかいしつ
・電離:でんり
0.水溶液と酸性・中性・アルカリ性
①pH
・水溶液の性質(酸性・中性・アルカリ性)を表す数値
・0~14の数値をとる
・0~6が酸性:0に近づくほど強い酸性
・7が中性
・8~14がアルカリ性:14に近づくほど強いアルカリ性
②水溶液の例
・酸性:塩酸、硫酸、酢
・中性:食塩水、砂糖水
・アルカリ性:水酸化ナトリウム水溶液
③リトマス紙の変化
・酸性:青色を赤色に変える
・中性:変化なし
・アルカリ性:赤色を青色に変える
④BTB溶液
・酸性:黄色
・中性:緑色
・アルカリ性:青色
⑤フェノールフタレイン溶液
・酸性:無色透明のまま
・中性:無色透明のまま
・アルカリ性:赤色になる
1.酸
・水溶液にしたとき水素イオン(H+)を生じる化合物
例:塩酸(塩化水素)(HCl → H+ + Cl-)
・水溶液は酸性を示す
・青色リトマス紙を赤色に変える
2.アルカリ
・水溶液にしたとき水酸化物イオン(OH-)を生じる化合物
例:水酸化ナトリウム(NaOH → Na+ + OH-)
・水溶液はアルカリ性を示す
・赤色リトマス紙を青色に変える
3.中和
・酸とアルカリがたがいの性質を打ち消しあう反応
酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜると起こる
→水と塩ができる
①水
・酸の水素イオンとアルカリの水酸化物イオンが結びついてできる
・イオンの式で表すと、H+ + OH- → H2O
②塩
・酸の陰イオンと、アルカリの陽イオンが結びついてできる
3’.中和の例
・塩酸(塩化水素の水溶液)と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜた場合
①酸:塩酸HCl
・陽イオン:H+
・陰イオン:Cl-
②アルカリ:水酸化ナトリウムNaOH
・陽イオン:Na+
・陰イオン:OH-
③:①と②を混ぜると反応が起こる
ⅰ.水ができる反応
・ H+ + OH- → H2O
ⅱ.塩ができる反応
・ Na+ + Cl- → NaCl
結果:塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜ合わせると、水と塩(塩化ナトリウム)ができる
※中和では必ず水ができるが、塩は混ぜ合わせる物質によって異なる
塩酸と水酸化ナトリウムの場合は、塩化ナトリウムが塩としてできる
↓この実験のイオンと反応の組み合わせ
※この反応を2年生で学習した化学反応式で表すと
HCl + NaOH → NaCl + H2O
となる
※その他の中和の例
・うすい硫酸(H2SO4)に水溶液バリウム(Ba(OH)2)を加えたとき
水:H2O
塩:硫酸バリウム(BaSO4)
ができる
漢字などの読み方
・pH:ピーエイチ
・塩:えん
ポイント
1年生では、種子植物が受粉すると胚珠は種子になり、子房は果実になることを学びました。今回の植物の有性生殖では、受粉から種子・果実ができるまでの間に起こることを学びます。
1.細胞分裂
・1個の細胞が分かれて2個の細胞になること
①染色体
・細胞の核の中にある、ひものようなもの
②細胞分裂の過程
1.染色体の数が2倍になる
(核の中は見えない)
2.核がすきとおり、染色体が見える
3.染色体が中央に集まる
4.染色体が2等分され、両極に移動
5.染色体が見えなくなり、核が2つできる
※植物は中央にしきりができて分裂
動物はくびれて分裂
6.細胞質が2つに分かれ、2つの細胞ができる
→それぞれの細胞が大きくなる(成長)
↓細胞分裂の過程
2.生殖
・生物が自分(親)と同じ種類の新しい個体(子)をつくるはたらき
・受精のない無性生殖と、受精が行われる有性生殖がある
①無性生殖
・受精をしないで子をつくる生殖
例:単細胞生物の体細胞分裂(アメーバ、ゾウリムシなど)、栄養生殖(ジャガイモなど)
②有性生殖の過程:植物
1.受粉:花粉がめしべの柱頭につく
2.花粉から胚珠に向かって花粉管がのびる
3.精細胞が花粉管を通り胚珠に達する
※胚珠の中には卵細胞がある
4.受精:精細胞の核と卵細胞の核が合体する
5.受精卵は分裂をくり返し、胚になる
※胚珠全体は種子に、子房は果実になる
↓植物の有性生殖(被子植物。おしべ、花びらなどは省略)
③有性生殖の過程:動物
1.雄の精巣で精子、雌の卵巣で卵がつくられる
2.精子と卵が受精し、受精卵という1つの細胞ができる
3.受精卵は細胞分裂をくり返す
※胚:受精卵の分裂開始から、自分で食物をとりはじめるまでの子のこと
※発生:受精卵が新しい個体になるまでの過程
漢字の読み方
・染色体:せんしょくたい
・卵:らん
・花粉管:かふんかん
・雄:おす
・雌:めす
・胚:はい
※注意
2017年9月より、日本遺伝学会は、優性を「顕性(けんせい)」、劣性を「潜性(せんせい)」という表現に変更することを決定しました。優性・劣性という表現は、優れた遺伝子・劣った遺伝子という誤解をまねきやすいためです。
これにより、教科書の記述も変更となりました。テストでは、学校で習った通りに答えを書きましょう。
1.遺伝のしくみ
①形質
・生物の特徴となる形や性質のこと
→種子の形が「しわ」「丸」など
②遺伝
・親の持つ形質が子に伝わること
③遺伝子
・形質を決めるもとになるもの
・細胞の核の染色体にふくまれている
※DNA…遺伝子の本体である物質
2.メンデルの実験と遺伝のしくみ
・遺伝子は必ず対になっている
(AA・aa・Aaなどの組み合わせになっている)
①純系の丸い種子と、純系のしわの種子を受粉させる
※丸形の純系の遺伝子はAA、しわ形の純系の遺伝子はaaという組み合わせの対になっている
・1. AA・aaの遺伝子が減数分裂をする
→生殖細胞の遺伝子は、丸形はA、しわ形はaになる
・2. Aとaが受精すると、子の遺伝子はすべてAaで形質は丸形になる
※顕性(優性)の法則
・異なる形質をもつ純系の両親から生まれた子に、一方の親の形質(顕性(優性)形質)だけがあらわれること
・①の実験では、丸形が顕性(優性)形質、しわ形が潜性(劣性)形質
②.①の実験で得られた丸形の子(AaとAa)を受粉させる
・孫の遺伝子の組み合わせは、AA、Aa、aaの3通りになる
(AAとAaが丸形、aaがしわ形)
・丸形としわ形の割合は、3:1になる。
(AAが1、Aaが2、aaが1)
・潜性(劣性)形質のしわ形は、子の世代ではあらわれず、孫の世代にあらわれる
漢字の読み方
・遺伝子:いでんし
・DNA:ディーエヌエー
・対:つい
1.2力のつり合い
・1つの物体にはたらく2つの力がつり合う条件
(物体が静止しているとき、2力はつり合っている)
ⅰ.2力の大きさが等しい
ⅱ.2力の向きが反対である
ⅲ.2力が一直線上にある
2.力の合成
・合力を求めること
※合力…2つの力と同じはたらきをする1つの力
①一直線上にある2力の合力
ⅰ.2力が同じ向き
・力の大きさは2力の和
・向き:2力と同じ向き
ⅱ.2力が反対向き
・力の大きさは2力の差
・向き:大きい方の力の向き
②一直線上にない2力の合力
・2力を2辺とする平行四辺形の対角線が合力となる
3.力の分解
・分力を求めること
※分力…1つの力と同じはたらきをする2つの力
力の分解の手順(下図参照)
・1. 力Fを分解する向きを決める
・2. 力Fが平行四辺形の対角線になるような平行線をかく
・3. 分力A、分力Bをかく
4.物体の運動
①速さ
・一定時間に物体が動く距離
※速さを求める公式
・速さ(m/s) = 動いた距離(m) ÷ 動いた時間(s)
(mはメートル、sは秒)
②記録タイマーを使った実験
・テープの長さ:物体の動いた距離
・テープの打点の数:動くのにかかった時間
※1秒間に50打点の場合、5打点で0.1秒
例:テープの長さが6.5cm、打点数が5の場合の速さを求める
→6.5÷0.1=65 なので、65cm/s (秒速65cm)
③等速直線運動
・同じ速さで一直線上を動く運動
・記録タイマーの打点数が同じであれば、テープの長さは同じになる
5.慣性の法則
・静止している物体は静止し続け、運動している物体は同じ速さで移動(等速直線運動)を続ける法則
※慣性…物体が同じ運動の状態を保とうとすること
漢字の読み方
・合力:ごうりょく
・分力:ぶんりょく
・慣性:かんせい
ポイント
仕事の原理は、自転車のギアにも似ています。重いギアだと少しこぐだけで長い距離を進めます。反対にギアを軽くすれば少しの力でこげますが、同じ距離を進むにはそれだけ多くこぐ必要があります。
1.仕事と仕事率
①仕事
・物体に力を加えて物体を移動させること
・単位はジュール(J)
・公式:仕事(J)=力の大きさ(N) × 動いた距離(m)
②仕事率
・単位時間あたりの仕事
・単位はワット(W)
・公式:仕事率(W)=仕事(J)÷かかった時間(s)
※同じ仕事ならかかった時間が短いほど仕事率は大きい
2.仕事の原理
・道具を使っても、仕事の大きさは変わらない
例1:500gの物体を1m動かす(持ち上げる)場合の仕事を求める
※100gの物体にはたらく重力を1Nとする
→500gであれば5N
(仕事の公式:仕事(J)=力の大きさ(N)×距離(m))
①直接持ち上げる場合
5N × 1m = 5J
②定滑車を使う場合
5N × 1m = 5J
③動滑車を使う場合
2.5N × 2m = 5J
※動滑車を使うと、必要な力は半分(2分の1)の2.5Nですむが、動かす距離は2倍の2mになる
→仕事そのものは5Jで変わらない(仕事の原理)
例2:仕事率を求める
・例1の、500gの物体を1m持ち上げる場合の仕事は、5N×1m=5J
・1秒で持ち上げた場合の仕事率
→5J ÷ 1s = 5W
・2秒で持ち上げた場合の仕事率
→5J ÷ 2s = 2.5W
・5秒で持ち上げた場合の仕事率
→5J ÷ 5s = 1W
となる。時間がかかるほど仕事率は小さくなる。反対に、短い時間で同じ仕事をするのであれば仕事率は大きくなる
3.エネルギー
・ほかの物体に仕事をすることができる能力
※力を加えて動かしたり変形させたりすること
①位置エネルギー
・高いところにある物体がもっているエネルギー
・物体の位置が高いほど位置エネルギーは大きい
・物体の質量が大きいほど位置エネルギーは大きい
②運動エネルギー
・運動している物体がもっているエネルギー
・物体の速さが速いほど運動エネルギーは大きい
・物体の質量が大きいほど運動エネルギーは大きい③力学的エネルギー
・位置エネルギーと運動エネルギーの和
④力学的エネルギーの保存
・位置エネルギーと運動エネルギーはたがいに移り変わり、その和である力学的エネルギーは一定に保たれるということ(摩擦や抵抗などがない場合)
例:振り子の運動
A点
・位置エネルギー最大
・運動エネルギー0(速さが0)
A→B
・位置エネルギーが減少
・運動エネルギーが増加(加速)
※位置エネルギーが運動エネルギーに移り変わる
B点
・位置エネルギー0
・運動エネルギー最大(速さが最大)
B→C
・運動エネルギーが減少(減速)
・位置エネルギーが増加
※運動エネルギーが位置エネルギーに移り変わる
C点
・位置エネルギー最大
・運動エネルギー0(速さが0)
↓位置エネルギーと運動エネルギーの移り変わり
(位置エネルギーと運動エネルギーの和は常に等しい:力学的エネルギーの保存)