2022年共通テスト英語の傾向

共通テスト「英語リーディング」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量、問題構成、難度などを解説します。

試験時間と配点

時間 / 配点:80分 / 100点


全体の傾向

難易度は2021年度並みだが、読解量(語数)はやや増加した。出題形式にいくつか変化は見られたものの、短時間で多くの情報を処理する速読速解力が求められた点に変わりはない。イラストや表、グラフを扱う問題も21年度同様に多数出題された。なお、第2問と第3問ではイギリス英語特有の表現が用いられていた。


英語リーディングの「カギとなる問題」は?

次に、英語リーディングで「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。

第2問A 問1

正しい選択肢の組み合わせを問う新傾向の問題が出題された。


 

第2問B

英文、設問ともに、2021年度から大きく形式が変化した。


 

第4問 問5

限られた時間内に各店の価格、保証年数と割引などを加味して答えなければならず、差がつく問題と言える。


 

第5問 問3

英文中の出来事を、起きた「年」の情報をもとに、整理して並べ替えなければならなかった。


 

第6問A 問4

2つの空欄に入れるものを6つの選択肢から選ぶという新しい形式で出題された。


 


 

大問別ポイント/設問形式別ポイント

次に、英語リーディングの出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問A:ブラジルのフルーツ(約100語)(配点:4点)[やや易]

・2021年度はSNSのメッセージ交換画面を想定した双方向型の文章だったが、2022年度は「写真と箇条書きの説明」が4つ並ぶ形式へと変化し、設問で問われている箇所が特定しやすくなった。2つのフルーツ間の共通点を確認させる問題が新たに出題されたものの、答えは容易に導き出せただろう。


第1問B:赤ちゃんキリンの命名コンテストの案内(約240語)(配点:6点)[標準]

・2021年度と同様、本文が案内項目ごとにエリア分けされた文章で、難易度や設問傾向にも目立った変化はなかった。2021年度は3つの問がそれぞれ異なるエリアの内容理解を問うものであったが、2022年度は1つのエリア(How to Enter)の内容を問う問題が2題出題された。


第2問A:大学図書館の利用案内のポスター(約290語)(配点:10点)[標準]

・2021年度は本文に表が含まれていたが、2022年度は文章のみで構成されたポスターが題材となった。the first floor、the ground floor といったイギリス英語特有の表現に多少戸惑ったかもしれないが、設問を解く上で支障はなかっただろう。試行調査から続けて出題されていた事実と意見を分別する問題については、2022年度は事実を選ぶもの1題のみの出題であった。問1では、正しい選択肢の組み合わせを問う新傾向の問題が出題されたが、それぞれ探すべき箇所は明確であった。


第2問B:ある留学生によるペットを飼うことについての校内新聞の記事(約240語)(配点:10点)[標準]

・2021年度のような先生と生徒の議論ではなく、留学生による記事が題材となっており、英文自体は読みやすかった。2021年度は事実と意見を分別する問題が出題されたが、2022年度は出題されなかった。数値を参照して高いものから順に並べる問題や、本文中のある情報を正しく言い換えた文を選ぶ問題、タイトルを選ぶ問題など、新傾向の問題が多く出題された


第3問A:日本文化の紹介イベントに参加した経験を書いたブログ記事(約230語)(配点:6点)[やや易]

・イラスト付きのブログ記事を素材とした問題であった。イラストにある情報は、ブログの内容を理解するための一助になっていたが、設問を解く上では必須ではなかった。

・2021年度のように、正答を導くために計算が必要とされるような設問はなく、代わりに筆者の感情を問う設問が出題された。ブログテーマが馴染みのある「日本文化」であり、複雑な計算問題も含まれないため、全体としては易化したと言えるだろう。


第3問B:英国内の3つの山の登頂に挑戦した体験を書いた雑誌記事(約380語)(配点:9点)[標準]

・2021年度と同様に出来事を時系列に並べ替える問題が出題された。山の名前や地名に加え、起こった出来事も含めた細かい情報の読み取りが必要とされたため、手こずった受験生も多かっただろう。2021年度に出題された「自分が次にまずやるべきことは何か」を問う問題は出題されなかった。

・英国内での登山という状況設定に合わせて、minibusといったイギリス英語特有の単語やスペリング(realise や travelled)が含まれていた。英文の語数は2021年度に比べて若干増加した。


第4問:新入生に電化製品購入のアドバイスをする2つのブログ(本文 約380語)(配点:16点)[標準]

・2021年度と同様に、複数の英文と資料などから必要な情報を読み取る形式の問題が出題された。2つのブログ記事の主旨を把握する力を問う問題が中心であり、2021年度型というよりは試行調査に近い問題であったと言える。

・問4までは正答の根拠となる箇所へのアクセスが容易で、2021年度よりも易化したと言えるだろう。問5は保証期間や割引の条件などを正確に読み取ったうえで計算しなければならず、手強い問題だった。


第5問:テレビ発明の特許権を得たPhilo Taylor Farnsworthに関する記事(本文 約620語)(配点:15点)[標準]

・英文を読み、プレゼンテーション用の要約ノートを完成させる問題で、形式としては2021年度とほぼ同じであった。要約ノートの見出しに合う複数の情報を探し出したり、出来事を時系列に沿って整理したりする設問にも目立った変化はなかった。

・出来事を時系列順に並べ替える問題では、ダミー選択肢を見分けるのは易しかったが、残る4つの選択肢を出来事が起きた「年度」の情報をもとに整理しなければならず、やや難しかっただろう。


第6問A:人の1日はいつ始まるのか? 〜朝型の人と夜型の人〜(本文 約660語)(配点:12点)[標準]

・21年度と同様、英文の記事を読んでその内容に関するまとめの空欄を埋める問題だが、まとめの形がポスターから要約メモに変わった。記事の英文は昨年よりも難易度が上がっているが、設問自体は比較的取り組みやすいものであった。

・要約メモは The Main Points、Interesting Details という項目でまとめられており、本文で述べられている順番通りではないので、空欄に入る選択肢を決める根拠になる部分を探す際に注意が必要であった。


第6問B:プラスチックの種類とリサイクルマーク(本文約650語)(配点:12点)[標準]

・第5問、第6問Aのように、本文を読み、アウトラインをまとめたポスターの空所を埋める形式となった。英文の難易度は昨年度と同等だが、語数は大幅に増えた。2021年度と同様、本文の内容に合うものを2つ選ぶ問題が出題されている。設問数は4→3問に減ったが、回答数は5つで変化なし。


攻略へのアドバイス

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。英語リーディングで求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。

大量の英文を正確に速く読み、情報を処理する検索力と読解力を身に付ける

すべての問題が長文読解であるだけでなく、全体の読解量が非常に多いため、正確な速読力・速解力だけでなく、読んだ情報を的確に処理する能力が求められる。全体の文脈や内容を把握しつつ、解答に必要な情報を整理しながら読解する力を身に付けることが重要である。


多種多様な文章や資料に慣れる

共通テストでは英文だけでなく、図や表、グラフなどの与えられた資料から答えとなる情報を推測することも重要。そのためには英文に書かれている状況や条件を把握し、資料から必要な情報を参照することが必要となる。自分が何を問われているのかと、資料からどの情報を探さなければならないかを正確に把握することがカギとなる。さまざまな形式の資料に慣れておこう。


実戦的な問題演習に取り組む

早い時期から実戦的な問題に取り組み、本番でどのような文章が出題されても必要な情報に素早くアクセスするコツをつかんでおくことが重要