苦手と感じる人が多い「国語」

国語に苦手意識をもちやすい理由として、次の3つが挙げられます。

①「何から勉強したらよいかわからないから」
②「読解問題では暗記が役に立たないから」
③「記述問題は答え方が一つじゃないから」

上記はどれも、他教科にはあまり見られない「国語の特性」によるものです。
これらの特性によって、国語は勉強法が不明瞭なとっつきにくい科目のように感じられ、国語の成績向上には「センスや読書習慣が必要?」と思う方も多いのではないでしょうか。
センスや読書習慣もあるに越したことはないですが、まず身につけるべきは「読む力」「解法のコツ」です。

読む力

国語は、他教科と違い、細かい単元に分けることが難しいです。
その反面、どんな問題を解くうえでも広く必要になる力があります。それが「読む力」です。
これを意識した勉強をすることで、国語の読解問題すべての対策になります。

解法のコツ

理科・社会における暗記事項、算数における公式や問題パターンのような得点につながる覚えておくべき事項は国語にもあります。
それが「解法のコツ」です。読解問題では、基本的に毎回初見の問題を解くことになると思いますが、解法のコツを覚えておくことで柔軟に対応ができるようになります。

読む力を身につけられる勉強法や解法のコツについて解説していきます。

 
 

「読む力」を身につける勉強法

手を動かし、注目すべきポイントを見落とさない

読解問題における「読む」とは、「文字を目で追うこと」ではありません。
筆者の主張や登場人物の心情の変化といった「書かれている内容を理解すること」です。

とはいうものの、ただ漠然と問題文を読むだけで内容が理解できるということはまずありません。文章の内容が難しければ、なおさらです。
まずは、文章の理解を助ける重要なポイントに目印をつけることから始めましょう。

例えば説明文では、下記の図のように線を引いてつなぐと、筆者の主張を捉えやすくなります。

「しかし」と逆接で始まる文
「つまり」とまとめている文
「である」と断定の意を表している文
「なのだ」と強い断定の意を表している文
に注目して、筆者の主張を正しくとらえる。

物語文もやり方は同じです。
物語文の場合は、接続語や文末表現に注目するというよりは、場面の移り変わりや、心情の変化のきっかけとなる出来事などに注目します。

このように目印をつけることで、文章構造を立体的にとらえることが可能になります。問題文を理解できていなければ、どんな問題を解くにも苦労してしまいますよね。まずは基本中の基本、「文章を読んで理解する」ことを意識しましょう。

 

 文章のココに目印をつけよう!

【説明文】① 段落のキーワードとなる語句 ② 筆者の主張(接続語・文末表現)

【物語文】① 場面の移り変わり ② 登場人物の心情の表れ ③ 心情変化のきっかけとなる出来事

 

 
 

覚えておきたい解法のコツ
「記号選択問題」編

選択肢は、文ではなく要素ごとに判断する

1~2文程度の選択肢について内容の適不適を判断していく際、「文の適切さ」という視点で読んでいると選択肢の小さなキズ(誤り)を見落としやすくなります。記号選択問題では、選択肢の文全体ではなく、要素ごとに注目して、適切かどうかを確認していくことが大切です。

 

疑いの目をもち、消去法で考える

「適切なものを選びなさい」という問題で、素直に「適切なもの」を探そうとすると、どれも正しいように見えてしまうことがあります。
そこで反対に、「この選択肢はどこが不適切か」という疑いの目を持って選択肢を排除していきましょう。選択肢に書かれている内容は本当に正しいのか、問題文と丁寧に照らし合わせることにつながります。
さらに、消去法で答えを1つに絞ることができたら、それが正しいという根拠も見つけましょう。
「適切でないものを選びなさい」という問題も同じです。疑いの目をもつことで、思い込みを防ぐことができます。

 

選択肢の不適切な部分に印をつける

選択肢を消去するときは、根拠を残していくことが大切です。
例えば、このような経験はないでしょうか。「アは不適切だな、除外。イも不適切。ウも除外。エも…。あれ、全部に✕がついてしまった。」
こうなったら、もう一度選択肢アから吟味のやりなおしとなってしまいます。
効率よく見直しをするためにも、選択肢の不適切な部分に印をつけておきましょう。

 

紛らわしい選択肢によく出る表現

難関校になればなるほど、紛らわしい選択肢で誤答を誘います。記述問題よりも正答率が低いことも決して少なくはありません。
注意すべき点がわかっていれば対策もしやすいですので、誤答選択肢によく用いられる表現を紹介します。
以下の表現がある場合には、より慎重に問題文との照らし合わせが必要です。
※下記の例ではどれが正答かについては不問とし、あくまで注意すべき点の紹介です。

ア)「~だから」「~によって」等の因果関係を示す表現:因果関係が誤っていることがある
イ)「必ず」「~だけ」等の強調表現:文章の内容からはそこまで言えないことがある
ウ)「~に対して」等の比較表現:比較対象が違う、文章ではそもそも比較していないことがある
エ)「〇〇と✕✕」という表現:〇〇・✕✕に過不足があることがある

 
 

覚えておきたい解法のコツ
「書き抜き問題」編

答えをいきなり探さない

字数指定がある書き抜き問題の場合、指定にあう字数の言葉を闇雲に探してしまいがちです。
字数というヒントだけを頼りに、数千字からなる問題文から答えを探し出すのは時間がかかってしまいますし、見落としの危険もあります。
まずは、ある程度書き抜く段落に見当をつけて、答えを探す範囲を絞りましょう。
問題文を読むときに先述の「読む力」で紹介した読み方ができていれば、問題文のどこに何が書かれているか、だいたい把握できているはずです。
字数指定はあくまで補助的な役割として考えましょう。

 

範囲を絞った後は、字数を手がかりに

答えを探す範囲を絞ることができたら、字数を手がかりにして答えを探します。
指定の字数が多いとき、文の終わりから文字数を数えると速く数えることができ、何度も数え直すという手間も避けることができます。
例えば以下の例。

「先生の作品を見た『ぼく』はどのような気持ちになりましたか。文中から二十五字で書き抜きなさい。」という問題。
答えは「足が地面からゆっくりとうき上がってくるような気持ち」ですが、その直前の「心をゆさぶられ」を答えに含めるか迷ったとします。
どこから書き抜くか文頭を迷うこともありますが、文末は見当がつきやすいことが多いです。今回の場合は「気持ち」が文末になると考えられます。
「気持ち」の「ち」からさかのぼって二十五字数えると、「足が地面から」が文頭になることがわかるので、「心をゆさぶられ」を数えて字数指定に合うか試す手間が省けるのです。

 
 

覚えておきたい解法のコツ
「記述問題」編

「軸」と「要素」で考える

記述問題は、記号選択問題や書き抜き問題とは異なり、解答にある程度の自由度が認められます。模範解答と一字一句同じである必要はありませんが、書くべき内容は決まっています。ここで紹介する「軸」と「要素」の考え方を参考にしてみてください。

 

例えば、「心情を答えなさい」という問題に対して

「軸」一言で表せるもの(「悲しい気持ち」「嬉しい気持ち」など)

「要素」より詳細な情報(「その心情になったきっかけ」など)

 

記述問題の大きな解答欄を見ると、「こんなに書けるかな」「きっと難しい問題なんだ」と怯んでしまいがちですが、まずは字数を気にせず、軸を決めます。軸を決めた後は要素を集めていきましょう。「読む力」で紹介したように問題文に線を引きながら読んでいれば、「要素」を集めることは難しくありません。