2022年度 久留米大学附設中学過去問【算数】大問2解説
東京大学、九州大学医学部、慶應義塾、早稲田大学などへの進学者を多数輩出している九州が誇る名門私立中高一貫校。九州の中心地「福岡県」において最高クラスの生徒が集まるため、自然と向学心も高くなっています。
久留米大学附設中学校の傾向と対策
《社会》
地理分野は基本的な知識、都市名や地形名は必須で、統計資料なども少なくとも3位まではおさえておきましょう。歴史分野は、年代を暗記することで歴史の流れを把握でき、並べかえ問題や正誤問題を解くのに役立ちます。正誤問題のパターンに慣れ、問題文を注意深く読む訓練をしておきましょう。公民分野では、7問中3問が現代史、3問が政治分野からの出題でした。時事問題も国際社会関連の出題が多いので要対策。
《理科》
大問数が4題と少ないですが、文が長く煩雑な計算も多いので、時間内に全てを解答するのは難しいです。難易度も高く、受験者平均40点代となっています。過去問を最低10年分に取り組み、出題傾向・時間に慣れるよう訓練しましょう。実験結果から考察させる問題に時間をかけてじっくり考えられるように、高度な計算力と思考力を身につけましょう。
(参照:jyukerabi)
2023年の試験結果
入試実施日:2023年1月21日(土)
合格発表日:2023年1月24日(火)
定員 :160名
志願者数:879名(男子582名・女子297名)
倍率 :5.5倍
合格者数:236名
合格最高:376点
合格最低:266点
合格平均:293点
受験平均:233点
国語:150点(60分)…合格者平均:79.2点(52.8%)・受験者平均:67.3点(44.9%)
算数:150点(60分)…合格者平均:90.4点(60.3%)・受験者平均:64.3点(42.9%)
社会:100点(45分)…合格者平均:57.2点(57.2%)・受験者平均:46.7点(46.7%)
理科:100点(45分)…合格者平均:66.6点(66.6%)・受験者平均:55.2点(55.2%)
合計:500点 …合格者平均:293点(58.6%)・受験者平均:233点(46.6%)
(今年から社会・理科は試験時間が40分から45分へと変更されました)
英進館:日能研:全教研
(2023)143:48:18
(2022)136:34:21
(2021)135:42:20
(2020)149:29:17
(2019)113:40:33
(2018)163:64:33
(2017)162:47:28
合格者数236名
英進館143名(昨年から7名増)
日能研48名(昨年から…14名増)
全教研 18名(昨年から…3名減)
その他33名(森田修学館:6名)
参照:Dr.papa2026
令和5年度募集要項
中学 | 高校 | |
---|---|---|
募集定員 | 160名 | 40名 |
受験資格 |
令和5年3月 小学校卒業見込の男女 (但し、女子は自宅通学が可能な者に限る) |
令和5年3月 中学校卒業見込の男女 または 令和4年3月中学卒業の男女 (但し、女子は自宅通学が可能な者に限る) |
入学試験日 | 令和5年1月21日(土曜日) | 令和5年1月22日(日曜日) |
入学試験 科目 |
国語・算数(各60分、150点)
|
国語・数学・英語(各60分、100点) |
出願期間 | 令和4年12月1日(木曜日) ~ 令和4年12月22日(木曜日) | |
出願手続 |
インターネットによる出願 詳細は「生徒募集要項」をご確認ください。(8月より配布) |
|
入学検定料 | 入学検定料 20,000円 | |
合格発表 | 令和5年1月24日(火曜日) | 令和5年1月25日(水曜日) |
入学手続 |
令和5年1月26日(木曜日)~1月31日(火曜日) |
令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
志願者数 | 男375名 | 女285名 | 男359名 | 女325名 | 男375名 | 女279名 | |
660名 4.1倍 |
684名 4.3倍 |
654名 4.1倍 |
|||||
合格者数 | 219名 | 215名 | 208名 | ||||
合格最高点 | 410点 | 398点 | 447点 | ||||
合格最低点 | 287点 | 298点 | 290点 | ||||
総合平均点 | 合格者 | 324点 | 327点 | 325点 | |||
受験者 | 262点 | 269点 | 263点 |
A君は1周3000mの池のまわりを、12時にスタート地点から一定の速さで走り出しました。
A君は1周走ったあと、スタート地点で1分休んでから1周目の速さの1.2倍の速さで2周し、
さらにスタート地点で9分休んでから1周目の速さにもどして3周すると、
合計で6周走り、走り終えた時刻は13時18分でした。
(1)
A君が1周目の速さの1.2倍の速さで2周走るときにかかった時間は、
A君がスタートしてから1周走るときにかかった時間の何倍ですか。分数で答えなさい。
(2)
1周目のA君の走る速さは分速何mですか。
B君の時計は正しくない一定の速さで進みます。
A君が1周目を走り終えたとき、B君の時計は12時15分でした。
また、A君が6周目を走り終えたとき、B君の時計は13時15分30秒でした。
(3)
B君の時計は正しい時間の何倍の速さで進みますか。分数で答えなさい。
(4)
B君の時計が正しい時刻を示したとき、その時刻を答えなさい。
またそのとき、A君はスタートしてから全部で何km走りましたか。
(1)
速さの比は、1:1.2=5:6
時間は逆比で⑥:⑤。
⑥×1周:⑤×2周=6:10=3:5
かかった時間は5/3倍。
(2)
走った時間は休憩時間をのぞくと、13:18-12:00-10分=78-10=68分
時間⑥で4周、時間⑤で2周走るので、
⑥×4+⑤×2=㉞
通常の速さで1周を走る時間は、⑥=68×⑥/㉞=12分
3000÷12=分速250m
(3)
Aが1周走り終えてから、6周走り終えるまでの時間は、78-12=66分
この間にBの時計は、13:15:30-12:15:00=1時間30秒=60.5分進んだ。
時間が進む速さの比は、正しい時計:Bの時計=66:60.5=12:11
正しい時計が⑫進むと、Bの時計は⑪進むので11/12倍。
(4)
Aが1周走り終えたとき、正しい時計は12時12分、Bの時計は3分先にいる。
時間が進む比(速さの比)は、正:B=⑫:⑪
正しい時計がBの時計に追いついたとき、Bの時計が正しい時刻を示す。
このときまでに進んだ時間の比(距離の比)は速さの比と同じで、正:B=⑫:⑪
差の①が3分にあたる。
12時12分から3×⑫=36分後の12時48分にBの時計は正しい時間を指した。
Aは13時18分に6周走り終える。
13:18-12:48=30分前にAはどこを走っているか。
ラストの3周は1周12分で走るから、3周は36分間。
つまり、12時48分はAがラスト3周を走っている最中である。
残り30分間は30÷12=2.5周
Aは6-2.5=3.5周を走り終えている。
1周は3kmなので、Aが走った距離は3×3.5=10.5km
12時48分、10.5km
カリキュラム
附設の経験を活かした中味の濃い指導、基礎・基本から高度な内容までテンポよく展開。
教師と生徒、生徒どうしの誠実な信頼関係を築きながら、「学校・自宅(寮)での学習パターン」に転換する。毎日の授業を中心に、自ら意欲的に学ぶ姿勢を確立するとともに、自主的・自立的な生活態度の確立を目指す。この2年間で中学の教科課程をほぼ終了する。
これまでの学習の成果の上に高校課程の学習をすすめる。自分の志望を確立して、学習の基本的態度を高め、基礎学力の定着と確かな学力の向上に努め、進路を選択する。この期間に国語、数学、英語、地歴、理科など高校卒業に必要な単位のほとんどを修得する。
高2から、生徒の志望に応じた文系・理系の学級編成とし、文系は地歴、理系は数学、理科などの内容を深める。高3の6月までにほぼ教科書を終わらせた後は、大学入試に対応した実戦的な授業を展開し、生徒諸君の志望する大学への道を確実にする。
合計 | 35 | 35 | 35 |
教科等 | 学年 | ||
---|---|---|---|
中1 | 中2 | 中3 | |
国語 | 5 | 5 | 5 |
社会 | 3 | 4 | 4 |
数学 | 5 | 5 | 5 |
理科 | 4 | 3 | 4 |
保健体育 | 3 | 3 | 3 |
音楽 美術 技家 |
4 | 4 | 3 |
英語 | 6 | 6 | 6 |
道徳 | 1 | 1 | 1 |
総合学習 | 2 | 2 | 2 |
学級活動 | 1 | 1 | 1 |
英数テスト | 1 | 1 | 1 |
合 計 | 35 | 35 | 35 | 34 | 34 |
教科等 | 学年 | ||||
---|---|---|---|---|---|
高1 | 高2 | 高3 | |||
文系 | 理系 | 文系 | 理系 | ||
国語 | 5 | 5 | 5 | 8 | 5 |
地歴 | 4 | 4 | 2 | 8 | 3 |
公民 | - | 4 | 2 | - | |
数学 | 5 | 5 | 5 | 5 | 7 |
理科 | 6 | 2 | 6 | 2 | 8 |
保健体育 | 4 | 3 | 3 | 2 | 2 |
音楽 美術 書道 |
2 | - | - | - | - |
英語 | 5 | 6 | 6 | 7 | 7 |
家庭 | 2 | - | - | - | - |
情報 | - | 2 | 2 | - | - |
総合学習 | 1 | 2 | 2 | - | - |
HR活動 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
数学テスト | - | 1 | 1 | 1 | 1 |
注1)土曜日や平日の7時限目に実施する授業時間数を含んでいます。
注2)高校2年より、志望別(文系・理系)のクラス編成になります。
久留米大学附設中学校・高等学校 | |
---|---|
北緯33度18分15秒 東経130度32分33.7秒座標: 北緯33度18分15秒 東経130度32分33.7秒 | |
国公私立の別 | 私立学校 |
設置者 | 学校法人久留米大学 |
設立年月日 | 1950年 |
創立記念日 | 4月28日 |
創立者 | 板垣政参 |
共学・別学 | 男女共学 |
中高一貫教育 | 併設型(外部混合有) |
課程 | 全日制課程 |
単位制・学年制 | 学年制 |
設置学科 | 普通科 |
学期 | 3学期制 |
高校コード | 40548F |
中学校コード | 400331 |
所在地 | 〒839-0862 |
外部リンク | 公式サイト |
ウィキポータル 教育 ウィキプロジェクト 学校 |
|
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久留米大学附設中学校・高等学校(くるめだいがくふせつちゅうがっこう・こうとうがっこう、英: Kurume University Junior and Senior High School[1](KUJS))は、福岡県久留米市野中町に所在し、中高一貫教育を提供する私立中学校・高等学校。
高等学校においては、中学校から入学した生徒と高等学校から入学した生徒との間では第2学年で混合したクラスを編成する併設混合型中高一貫校。
略称は久留米大附設、あるいは単に附設[2]。似ている「附属」の場合同じ久留米市内の「福岡教育大学附属久留米中学校」を指すことになる[3]。
旧制・私立九州医学専門学校が学制改革に伴い新制・久留米大学となる中で1950年(昭和25年)、久留米大学商学部構内に創立。旧制・私立九州医学専門学校も元々は久留米市の官民挙げての設立であり、研究・教育のノウハウを活かして設立された。創立にあたり久留米大学初代学長兼第3代理事長小野寺直助は、
を唱え、九州大学医学部教授板垣政参(旧制盛岡中学で一年先輩、京都帝国大学福岡医科大学(九州大学医学部の前身)で同僚)を初代校長として招聘、旧制中学教育の良い面を継承し、戦後復興と平和に貢献できる人材の育成を目指した。その希求は校歌の歌詞にも謳われている(作詞は草創期に国語教諭の大石亀次郎)。
また、九州医学専門学校創立に寄与した石橋正二郎(ブリヂストン創業者)が財団法人石橋財団を通じて移転用地買収資金を寄付し、1968年(昭和43年)、現在の野中町に移転。1969年(昭和44年)、附設中学校設立。中高一貫校となる。
「附設」という呼称は、設立の際に大学の下位に属する「附属」ではなく大学の学部と同列に位置付けるという方針による。実際に久留米大学への内部推薦制度などはなく、進学者も少ない[4][5]。
学校から東側には高良山が見える。クルメツツジの咲く頃には遠足で訪れたり、クラブ活動で走って登ったりもする。北側には筑後川流域の筑後川の戦いの舞台が見える。
かつては浪人生に学習指導を行うために補習科を設置していたが、現在は廃止されている。
2005年(平成17年)度から、高校が男女共学化。2013年(平成25年)度から中学も男女共学になった。男子には「扶桑学寮」(中学:168名、高校:192名)が校内に設置されている。
2011年(平成23年)、九州新幹線の鹿児島ルート全通開通により、熊本方面からも通いやすくなった。
共学化後も男子校の特色の名残がある。高校文化祭の名称は「男く祭(おとこくさい)」であったが2022年の52回文化祭より告知もないままにその名の使用が禁止された。生徒達のみで作られる文化祭として有名。なお、「男く祭」の名称は久留米の方言で標準語の終助詞・間投詞の「さ」を「さい」「くさい」あるいは「くさ」ということからきており、「(俺達は)男だ!」位の意味であるが、もちろん「男臭い」にもかけてある。なお、元々は久留米大学の学園祭「あのく祭」(あのくさい、標準語で「あのね」位の意味)からきている。
1学年は中学160名(4クラス)、高校200名(5クラス)であり、高校入試で40名(1クラス)を募集している。創立以来ずっと男子のみの募集だったが、高校は2005年度から、中学は2013年度から女子(ただし自宅から通学が条件)を受け入れるようになった。2005年度の高校共学化の際は、一部のOB、教員、生徒会などからかなりの反対意見があったものの、高校からの入学者の学力水準を維持することとなり、さらに2013年度の中学共学化により高校での運営形態が中学でも実現できる中高一貫教育となった。
「扶桑学寮」(#寄宿舎を参照)という男子寮を校内に設けており、男子は九州全域をはじめ、日本全国からの入学者がいる。
中3で卒業論文製作に取り組み、夏休みまでに完成させる。完成した作品は校内で部門ごとに審査し、表彰式や作品展などを開催している。全国学芸サイエンスコンクール(旺文社)や日本学生科学賞(読売新聞社)などに応募することもでき、例年数々の入賞を果たしている。
高校からの入学者は1年次は別学となり、全生徒がこの時点で地理か日本史の社会科を選択履修する。2年に進級した際、5クラスを混合して文系・理系クラスに分けられる。高3の6月でほぼ全ての課程が終わる。
高3では学校独自の校内模試が年に4回ある。
中2~3で週3時間、高1で週2時間、3年間にわたって1つのコースを履修する「芸術総合選択」の授業がある。絵画・美術工芸・陶芸・書道・声楽・器楽から選択する[8]。
高3の6時間目授業終了後に希望者対象に設けられた、大学入試問題を基にした問題の演習授業である。内容は、東大、九大などの大学別、科目別に分かれており、英語に関しては、理系を対象とした「標準英語」「基礎英語」といったものから、文系向けの「難関大英語」や、「東大英語」「九大英語」といった講座まで、幅広く網羅している[9]。
長期休暇の課題として、同校元教諭で佐藤佐太郎の門人である大津留敬の指導の下、短歌作りを定めている。歌会始では度々生徒が入選や佳作に選ばれている。
中高とも体育祭・送別球技大会等の行事を生徒会の総務委員会が中心となって運営する。会長選挙は中学が9月頃、高校が5月頃。
中学の選挙には会長候補と議長候補が立候補し、当選後、会長による副会長・議長・副議長・書記長・書記(2名)・会計長・会計(2名)の任命によって10名からなる総務委員会が発足する。また、同時に各生活委員会(風紀・学習・環境・体育・保健・図書)の委員長・副委員長も任命される。書記・会計のうち各々1名は一年生から選ばれる。
高校の選挙には会長候補が立候補し、当選後会長による副会長・書記(2名)・会計(2名)・庶務(2名)の任命によって10名からなる総務委員会が発足する。また、同時に各運営委員会(文化・体育・風紀・図書・環境・広報・保健・HR)の委員長・副委員長も任命される。
下校時刻は18時となっている。最近では囲碁将棋部やテニス部、演劇部、陸上部、ディベート部、クイズ研究部、天文部、化学部、レゴ部などが全国大会に出場した。
第38回全国高等学校総合文化祭(2014年、茨城県)では高校演劇部が全国優勝した(題目「女子高生」)。演劇で全国優勝は福岡県としても初めてのことであった[10]。
第2回科学の甲子園には福岡県代表として全国大会に出場しており、第10回大会(2021年現在)まで連続出場している。
第44回全国高等学校総合文化祭(2020年、高知県)には高校合唱部出場決定している。新型コロナウィルスの影響で現地での開催は無くなっている。
「扶桑学寮」という名の男子寮を校内に設けている。高校寮(定員192名)と中学寮(定員168名)は別棟。入寮は自由で、寮生よりも通学生の割合が多い(およそ1:3)。なお、女子寮を福岡県小郡市近辺に建設するという計画があったが、破綻している。
東京大学や京都大学、慶應義塾大学や早稲田大学といった全国トップクラスの超難関国公立・私立大学へ、毎年多くの合格者を輩出している。また、国公立大学医学部にも多くの合格者を輩出しており、地元の九州大学医学部医学科(定員111名)には毎年30名以上の合格者を輩出している。
この章では、筆者の経験も交えながら、中学受験国語の具体的な対策と勉強法について述べていきます。
まずは解くテストについて知る事
みなさんのお子さんの目指す中学校はどこでしょうか?
あるいはどの模試、どの塾のテストで点数を取りたいのでしょうか?
まずは解くテストについて知ることが大切です。
筆者が受験した洛星中学校では60分の制限時間で大問が2つ、物語文の読解と漢字単体でした。
もうこの情報だけでも、他の中学校よりも漢字の配点が高く、漢字の暗記勉強が重要であることが分かりますね。
受けるテストの重要度にもよりますが、そのテストの情報について調べれば調べるだけ良いです。
特に第一志望の中学校の情報は可能な限り集めるようにしましょう。
今の時代、インターネット等にも情報がたくさんありますし、お通いの塾で資料を請求したり、先生に話を聞いたりすることでも情報が得られると思います。
複数の情報元から信頼できる情報を
洛星中学の例を出すと、インターネット上にある洛星中学の過去問題を取り扱っているサイトを見るだけでも、大問が少ない分、第1問の物語文の読解は、ボリュームがたっぷり目になっていることや、その物語の題材はかなり古い小説の中から選ばれることが多いことがわかります。
注意点としては、情報を集める時は必ず複数の情報元から入手し、照らし合わせるということです。
受験に関する情報が偏ると、本番の問題を開けてみてびっくり、思っていたのと全然違う、となってしまいます。
このように、中学受験国語対策は情報を集めることから始めていきましょう。
よし、情報を集めることができたから勉強をはじめていくぞ!というわけではありません。
ここでもう少し辛抱です。
目標となる中学校の情報が集められたからといっても、それにどう立ち回り、どう立ち向かうかが決められていませんね。
ちょうど織田信長が桶狭間の戦いにて、今川軍の兵の数の情報を手に入れただけでなく、敵の陣地、配置などのすべての情報を考慮した上で、しっかりと作戦を立てて、勝利までの道筋を万全にしたことによって勝利を収めたように。
中学受験でも、目標となるテストの情報を得られた後は、限られた時間の中でいかに準備をしていくかの作戦を立てていかなければなりません。
では、具体的にどのように作戦を立てていくのか、「時間」と「内容」の2つに分けて話していきたいと思います。
どのくらいの時間をかけて勉強するか
これは実際の試験での配点の比を、おおよそそのまま勉強の時間の比として考えてもらえれば良いです。
洛星中学を例にとると、筆者は第1問の物語文と、第2問の漢字の比が5:1〜4:1くらいであるという情報を得ていたので、国語を1週間で10時間勉強するうちの8時間は読解問題、2時間は漢字の暗記に当てる、という采配でやっていました。
塾に通っていて、国語の科目を受講されている方であれば、そこでの読解、漢字の時間も含めて計算していくと良いかと思われます。
筆者も地元の進学塾に通っていて、国語の読解の授業を週に4時間分受講していたので、上に書いた時間は正確には、1週間のうち読解は4時間の授業+4時間の家庭学習、漢字は2時間の家庭学習というような内訳になります。
この時間はあくまで参考ですので、もし「漢字がめちゃくちゃ得意だ!」という方や逆に「漢字がめちゃめちゃ苦手だ…」という方はそれに応じて割合を調節してもらえれば良いかと思います。
どの単元をどれくらいやるのか
まず、どう単元を分けるかですが、これは大まかに読解と漢字に分けた後は、現代の文学、昔の文学など細分化する必要はあまりありません。
その代わりに「暗記するもの」と「練習するもの」を分けていきましょう。
「暗記するもの」とは、漢字はもちろん、ことわざや難しい熟語など、文章を読む上で重要かつ必須となるものも含まれます。
これらの「暗記するもの」で使う資料は市販のものや学習塾などで配られる参考書で十分です。
「練習するもの」とは「〜の理由を説明しなさい。」や、「この行動を取った時の〇〇の気持ちを説明したものとしてた正しいものを選びなさい。」といった読解問題の記述問題、選択肢問題のことです。
これも塾へ行っている方はそこの資料、なければ各中学校の過去問題や同じようなレベルの中学校の過去問題を使うといいでしょう。
小学生、特に男の子は、論理的なつながりを読み取ることや全体の構造を抑えながら部分を見る子が多いように感じますので、問題に対する慣れと感覚をつけていくことで苦手を補う、あるいは元々できる子であればその精度を増していく目的で時間をとってあげれば良いかと思われます。
どれくらいやるかですが、これは、「できるようになるまで」が答えです。もっと細かく言うと…
「暗記するもの」は、何も見ていない状態から単語帳や、参考書に乗っている四字熟語のリストを(完璧にまでとは言わないにしても、だいたいは)作成できるようになるまでです。
小学1年生の時にはみなさん仮名文字50音、ひらがなとカタカナすべてを書き出せるようになっていたことかと思います。
その感覚で、使っている参考書に載っている漢字やことわざがスラスラ出てくるようになるところがゴールである、という認識をしてもらえれば良いです。
「練習するもの」は、どんな問題を見ても「またこのパターンか!これは〇〇でやったことあるやつだ!」と言えるようになるのがゴールである、と思っていただければ良いです。
え、そんなのキリがないって思われましたか?
そうなんです。国語は自分の実力が「完成する」と表現することが、ほかの算数や理科、社会に比べて難しい科目なんです。
ですが、完成を想像することがはできます。上記でやったようにですね。
完成を想像して勉強をするのと、想像せずにやるのでは勉強の効率に大きな差が出ます。
ですので、ゴール地点はここだよと示してあげながら学習させるのが、親御さんや家庭教師の重要な役割の1つとしてあげられます。
後の項でも述べますが、勉強をする際はご家族の協力と精神状態のコントロールが重要な要素となっています。
この章では実際に筆者のしていた勉強法や参考書も例に挙げつつ、さらに細かく国語の各単元について、そして過去問題の使い方について解説していきたいと思います。
漢字の勉強法
使う参考書は、おおよそ漢字検定に基づいたものがオススメです。
漢字検定は級ごとの出題範囲がはっきりとしているので目安となりやすいためです。
また、6年生になるまでに小学生範囲の漢検(5級)は受かっているので別のことがしたい、もっと受験に特化した漢字の勉強をしたい、という方は
『中学入試でる順(旺文社)』
『漢字の要(SAPIX)』
といった中学受験にフォーカスした漢字の参考書がありますので、そちらをつかうと良いかと思われます。
漢字の暗記の勉強法は
①漢字を覚える
②翌日にその漢字を全部覚えているかテストする
③1週間に一回、その週に覚えた漢字をテストする
④1ヶ月に1回、その月に覚えた漢字をテストする
という、時間をおいて4周勉強するというものがオススメです。
これは人間の暗記能力を表すデータの1つである「エビングハウスの忘却曲線」というものを参考にしていて、この曲線は一度学習したものは、時間によってどれくらい頭から忘却されていくのか、の割合を示しています。
このデータによると、人間は覚えたものを復習しなければ、20分後にはその42%を、1日後には74%を、1週間後には77%、1ヶ月後にはおよそ80%を忘れてしまうようです。
しかし、復習すればするほどこの曲線の傾きは緩やかになっていき(=忘れにくくなっていく)、4回学習すればほぼ完全に覚えられるとされています。
ことわざ、熟語の勉強法
ことわざ、熟語のオススメ参考書については、漢字の参考書でも紹介した『中学入試の出る順』のことわざ・慣用句編というものがあります。
基本この一冊でかなりの部分をカバーできると思うのですが、他に塾などで勧められた参考書があればどちらでも結構です。
勉強方法に関しても同じ暗記科目ですので、漢字同様、①当日、②翌日、③1週間後、④1ヶ月後の4周学習する方法がオススメです。
読解の勉強法
読解は塾でやってくれることが多いかと思いますので、塾で国語を受講されている方はそこで配られた参考書や問題集を優先して行えば良いです。
塾で国語を取っていない・受講していない、という方は
『中学 自由自在 国語(受験研究社)』
という素晴らしい問題演習付き参考書がありますので、そちらを使っていただくと、かなりの力がつくと思われます。
勉強法としましては、時間がない日は少しだけでもいいので、毎日問題を解き続ける、というものです。
これまでの説明でも述べましたが、読解問題に関しては、選択肢問題、記述問題にかかわらず、慣れと感覚が重要となってきますのでなるべく問題にも毎日触れている状態にしてください。
読解の記述問題では、問題の問われ方によって、「〜ということ。」で終わるのか。
あるいは「〜から。」で終わるのか、語尾を気をつけるといった基本的なことから、感情を問われているときはその人物の発言の周辺を深く読む、などのテクニックまで身につけてほしいことが色々ありますが、ゴールは「自分の解き方が解説の手順と同じだった」というようになることです。
読解の選択肢問題では、誤答選択肢の誤りの部分を全て説明することができる所がゴールです。
「必ず」や「全くない」などの表現の入った選択肢は答えになりにくい、といったテクニックなどは、どの参考書に書いてあるはずです。
その都度勉強し、思い出せるようにしてください。
何を勉強するのかといったことや、週にどれくらい勉強するかがきまったら勉強開始はもうすぐです。
実際に一日単位でのスケジュールを立てて、より効率よく学習ができるようにしてあげましょう。
少し大変ではありますが、他の科目との兼ね合い、集中力、息抜きの時間、学校の時間、塾の予定、睡眠時間すべてを含めて考えて行きましょう。
すでに進め方を確立できている、という方はこの章は飛ばしていただいて構いません。
この後の章では、どのように細かく慎重に、かつ神経質になりすぎないようなスケジュール管理と、メンタルの管理をしていくかについて述べていこうと思います。
お子さんと一緒にスケジュールを立てる
まずはスケジュールの立て方についてです。
これは他の項でも当てはまることですが、必ずお子さんと一緒に(誘導しながら)作っていきましょう。
人間の集中力というのは相当訓練された人でない限り、何時間も続くものではありません。
ですので数十分ごとに区切って1単位、1コマとする時間割のような考え方を自学習の場でも用いてあげましょう。
筆者の場合は「50分学習+10分休憩」を1コマとして、受験期は学校が終わって家に着く4時ごろから10時ごろまで、夕食を除いた5〜6セットを目安として計画を立てていました。
もちろん塾に行く場合は、その時間も考慮しつつです。
基本は1コマに1科目、1日の中でなるべく多くの科目に触れられるような組み合わせを組んでいました。
この意図としては、偏った科目の組み合わせにしてしまうと何日か触れない科目が出てきてしまい、これまでに述べた国語の慣れと感覚を身につけるのに不適切であるからです。
スポーツや音楽などを経験された方なら、その感覚がお馴染みだと思われますが、受験のスキルとしての慣れや感覚もそれらと同じく、1日空いただけでかなり変わってくるものなのです。
スケジュール立てのメリットとタイミング
スケジュールを立てるメリットとしては、第一に詰めすぎず、休みすぎずのバランスのとれた勉強時間が確保できるということ。
また、その場その場で何をしようかを考える必要がなく、無駄のないスムーズな時間運びができることが挙げられます。
立てるタイミングについては、その前日以前なら、どのタイミングでも構いません。
筆者のように塾での模試の結果が出るごとに科目ごとの時間の調整をしつつ、曜日別ルーティンを決めてもいいですし、毎週次の7日分の予定を立てても構いません。
大事なのは当日の効率を落とさないことです。
注意したい事
注意点ですが、お子さんのスケジュールを「完全」に親御さんが管理してしまうことは避けた方が良いでしょう。
親御さんが完全にスケジュールの管理をしてしまうと、お子さんは「お母さん(お父さん)がこれをやりなさいっていってるからやる。」という状態になってしまう危険性があります。
これの何がいけないかというと、お子さんが「今どういう目標があって、今している勉強がどう目標につながるか、どんな力がつくのか」を理解していないと、それを理解しながら勉強するよりも、はるかに勉強の吸収具合が下がるからです。
あくまで親はお子さんの自立した勉強、お子さんの自ら学ぶ環境のサポートをする役割である、というスタンスが良いと思います。
休憩の取り方にも注意が必要です。
特に国語という科目では、高い集中力で文章を読んでいくという作業が必要となりますので、高い集中力を維持するためにも休憩は重要な要素の1つです。
これは1コマごとにある10分程度の休憩においても、土日や休日に自由時間を設ける際にも共通することですので、しっかり押さえておきましょう。
休憩の目的を意識する
休憩とは、ただ休ませるだけのことではなく、疲れているところを積極的に回復させてやる「積極的休養」のことを指します。
この言葉はスポーツの世界でも用いられることが多く、その効果がよく認知されています。
例えば、野球のピッチャーが1試合投げ終わった後に、ただ家に帰ってゴロゴロして休むのではなく、ストレッチや、氷で冷やすアイシングや、マッサージ施術などをすることによって、積極的に動くことによって、身体をより早く回復させるというものです。
疲労ケアの方法
では、受験勉強をしているお子さんたちはどこが疲れているのでしょう。
医大生の筆者の経験と観点からは、僧帽筋、板状筋、棘筋等、要するに首回りから肩にかけての筋肉と眼、大きく分けてこの2つが疲れると思われます。
特に前者の筋肉が凝り固まると、脳への血流量が減り、脳の働きが低下してしまうのでなるべくケアしてあげましょう。
ケアの方法としてはゆっくり大きく首を回す、肩回しをするなどの軽い運動やストレッチ、遠くの山や建物を見るなどが良いでしょう。
じっくり湯船に浸かることは筋肉にも、眼の渇きにも有効なのでオススメです。
この「積極的休養」に関して、多くのお子さんにとって、自身のどこが疲れているか、などの認識は難しい、あるいはわからないものです。その代わりに「勉強疲れた」「頭疲れた」「集中力が切れた」「眠たくなってきた」といった訴えが出てくることかと思います。
多くは先ほど述べた首回りの筋肉や眼の疲労から来るものであるので、休憩時間にストレッチをしたり、休日を使ってプールに行って体を動かしたり、温泉に浸かってみたりしてください。
注意点として、眼を疲れさせること全般は受験期には控えた方が良いです。
特にテレビやスマホの動画は避けた方が良いです。
眼をさらに疲れさせるどころか、情報が受動的に流れ入ってきますので、自ら積極的に思考する力を奪いかねません。
なるべく家族で協力して、それらがなくても気にならないような雰囲気作りをしてあげてください。
中学受験する上で、お子さんのモチベーションは何よりも大事であると言えます。
どの参考書をやるか、などの議論よりはるかに大事です。
この項ではお子さんのモチベーションを維持するための方法をいくつか述べていくので、ぜひ参考にしてください。
目標を達成した後をイメージする
1つ目は、目標への意識を強める方法です。
第一志望校のオープンスクールがあれば、是非いってみてほしいのですが、お子さんに、自分が〇年後、ここで勉強して、ここの食堂で食事をとって、ここの体育館やプールで部活をしているかもしれない、というイメージを持たせることは目標意識を高めるのにとても良いです。
筆者も洛星高校のオープンスクールに行き、屋内の電光掲示板付き25m温水プールを見たときは感動して、
ここで部活をしたい!!
と強く思い、勉強にブーストがかかったことを覚えています。
野球が好きなお子さんであればグラウンドを見学したり、屋内スポーツが好きな方は体育館を見学したりすることで効果が得られるでしょう。
目標を分割する
どのお子さんも中学受験勉強の最終的な目標は中学入学試験合格だと思います。
しかし、目標がそこの1つだけでは途中で目標を見失ってしまうかもしれません。
ちょうど富士山登山の際、いきなり山頂を目指すのではなく、節々の何合目かのチェックポイントを目指して歩くように。
受験勉強という長い長い旅路の中では、チェックポイントが必須となります。
それに当たるのが模試や塾の定期テストになります。
幸か不幸か、今の時代はどの進学塾でも模試や定期テスト、あるいは授業ごとの小テストでさえも、すべて順位と偏差値をつけて発表してくれます。
それらの数字に目標を設定してあげて、「〇月のテストで〇〇位を取れるように頑張ろう!」ということをお子さんに意識させてください。
また、使っている参考書や問題集の進捗具合でも目標を設定してもらってもいいです。
今週はこの参考書の〇〇の項まで勉強しよう!のような簡単なものでもいいので、短期間での目標(チェックポイント)を設定してあげましょう。
好子と嫌子
ただ目標設定するだけではモチベーションを上げるには少し弱いです。
ここで好子と嫌子という考え方を用います。
好子とは、目標達成した時のご褒美を指します。
もちろん、物品等を与えることに余裕があるならそれでも構いませんが、ご飯を好物にする、どこどこに遊びにいく、などでも構いません。
そこはお子さんが望んでいそうなものを踏まえて提案してあげてください。これを先ほど述べた「積極的休息」と絡めてやることができれば最高です。
嫌子は、反対に目標達成できなかった時の罰を指します。
罰といっても大層なものでなくて大丈夫です。
お子さんが「うわっ、めんどくさいな」と思うくらいのものを設定してあげてください。
片付けや食器洗いが嫌いなお子さんであれば「次の1週間毎日夜ご飯の皿洗いの手伝い」などが良いでしょう。
もちろん、お小遣い減額!!といった厳しいものでも構いませんよ。(笑)
この好子と嫌子を設定する上での注意点が2つあります。
1つ目は、必ずスケジュールを立てるタイミングで一緒に設定してあげる、ということです。
後出しはダメです。
これを設定する目的が、対象期間のモチベーションアップであることがわかっていれば、この意味は容易に理解できるはずです。
2つ目は、嫌子に勉強関連のものを入れてはいけない、ということです。
嫌子に勉強関連のものを入れてしまうと、勉強が罰だという認識が生まれ、結果的に普段行なっている勉強までもが罰のように感じてしまいかねません。
これも、勉強のモチベーションアップという目的に反していますね。
では最後にこの章で、お子さんと接する際に注意したい事のまとめといくつかの補足をしていきます。
目標について考えないまま勉強を促す
これはお子さんが進む道を理解していないのに、早く進めといっているようなものです。
混乱と不安から勉強を避けるようになってしまう可能性があるので、注意が必要です。
勉強の進捗状況を確認しないまま注意をする
これも1と似ています。
よく、ドラマや漫画で「勉強してるのー?」という母親の呼びかけに対して子供が「今やろうと思ってたのに!」と怒る場面が見られますが、まさにこれが当てはまります。
勉強に関して一緒に歩んで行こうとしていない、勉強の内容は任せっきりなのに、やっているかやっていないかの確認だけをされるということが、子供たちにとってストレスになります。
初めから塾の担任や家庭教師の先生に任せる、と決めているのであれば特に気をつけましょう。
気になるのもわかりますが、中途半端に関わるのが一番いけません。
それでも気になるという方は食事の際にでも「最近どんなことやってるの?」といった、Yes/Noではなく、積極的に子供が発言できる質問でおするのが良いでしょう。
お子さんの勉強をすべて管理して、お子さんが指示待ち状態
お子さんの中学受験勉強を積極的にサポートしていきたい!という熱心でとっても素晴らしい、しかし少し熱心すぎる親御さんに多いのですが、これは先述した通り、お子さんの自分で考える力を奪ってしまいかねません。
基本はお子さん自身が計画を立てるものとして考えてあげてください。
休憩時間にテレビをみている
とてもありがちです。
休憩時間はできればお子さんと話してあげるようにしてください。
お子さんに、休憩時間にテレビやタブレット等の画面を見るのを控えるように伝えていたとしても、「自分はダメなのに、他の人はいいのか」とモチベーションを落としてしまうきっかけになるります。
せめて休憩時間は面白いエピソードを話したり、おやつで糖分を補給してあげたりして、お子さんが積極的休養できる環境を作ってあげてください。
成績が下がった・目標が達成できなかったから勉強量を増やす
これも先述した通り、できなかったことへの罰や反省として安易に勉強時間を増やすというのは、勉強へのモチベーションの観点から避けるべきです。
明らかに休んでいる時間が多い、勉強時間が全く確保できていないなどの場合はこの限りではありません。
中学受験における理科の問題の特徴や、分野別の出題範囲を解説します。
中学受験の理科では、小学校で習う生物・地学・物理・化学の各分野から偏りなく出題されます。そのため不得意分野があると高得点を目指すことができません。
また学校によっては、通常の小学校で習う内容だけでは対応できない場合もあるのです。最近では知識を問われる問題ではなく、思考力を問われる問題も増えており、中学受験に特化した勉強が必要となります。
さらにカラー印刷された写真や図が掲載された問題も増えているため、用語を暗記するだけでは対応しづらいのが現状です。
なお配点は、国語・算数が各100点満点、理科・社会は50点満点という学校もあります。
生物・地学・物理・化学の分野別の、おもな出題範囲を下記に示します。
生物 | 植物、動物、人体 |
---|---|
地学 | 天体、天気、地層 |
物理 | 音、光、電気、熱、てんびん、ばね、輪軸 |
化学 | 体積、結晶、金属、pH、濃度、気体 |
おもな出題範囲だけでも膨大な範囲を勉強することがわかります。
ただ押さえておくべき知識や考え方には型があり、型を覚えていれば解くことができます。
また中学受験の理科は大問の中にいくつか小問が設けられています。関連する小問が多く、問1と問2が解けたら問3も解ける場合も少なくありません。大問を丸ごと失点するリスクが少ない点から見ると、理科は得点を稼げる科目です。
「中学受験の理科の勉強法がわからない」と悩んでいる子どもに向けた、効率的な勉強法や学習のポイントを解説します。
理科は下記の順で勉強すると、効率的に問題が解けるようになります。
この順で勉強する理由は、インプットしてから、問題を解いてアウトプットさせると、知識が定着しやすくなるためです。
反対に暗記だけで終わると、アウトプットができず時間が経つと忘れてしまいます。またいきなり演習問題を解いても、インプットができていないため、何を問われているか問題を理解できません。
そして暗記と演習問題をこなせば、入試問題にも対応できるレベルになっています。そのため暗記・演習問題・入試問題の順は非常に重要です。
なお理科は、文章と図をセットで覚えると記憶に残りやすくなります。例えば教科書や問題集に掲載されている植物の絵をノートに写し、そこに部位の名前を書き込むなどです。
演習問題を解く際も図やグラフ、表を書くようにしましょう。例えば食塩水濃度の問題では、ビーカーに水や塩を入れた実験を題材に、濃度や水・塩の量などが問われます。実際に図や表にまとめると、何を問われているのかが明確になり、どんな計算式を使えばいいかが見えてきます。
理科はイメージが大切になるため、必ず図やグラフ、表を書き込みましょう。
生物・地学・物理・化学における、分野別のおもな学習のポイントは下記の通りです。
生物 | 暗記 |
---|---|
地学 | 暗記と原理の理解 |
物理 | 原理の理解 |
化学 | 計算問題 |
生物は基本的な知識問題がメインとなり、細かな知識を問われたり、実体験ベースに考察したりする力が必要となります。難問も出題されることが多いです。ただし生物の問題は、ほぼ出尽くしているため、過去問を解けば傾向がわかることが多いです。
地学は暗記と原理の理解が必要です。地学もある程度パターンが決まっているため、何度も解くことで解法を習得できます。
物理は暗記問題が少なく、いかに原理を理解しているかが最重要ポイントです。知っている原理や公式を使って解答するため、気づきや途中式をメモすると整理しやすくなります。
化学ではほとんど計算問題が出題されます。比を使った計算箇所が多いため計算が得意な子どもは点数を取りやすくなります。ただ問1を間違えると、それ以降の問題も全て不正解となる問題がある点には気をつけましょう。
理科が苦手な子どもの特徴は下記の通りです。
理科に興味や関心がない子どもは実体験が不足している可能性があります。また机上の勉強と身近な現象や日常の科学がリンクしていないことがあります。
そのため科学館やプラネタリウムなどに連れていくとよいです。机上の勉強だけでは理解しにくい内容も、身を持って体感すると、興味や関心が強まります。
また平均点に満たない場合は知識が定着していない可能性が高いです。知識が定着していないと問題も理解できないため、ますます理科の苦手意識が高まります。中学受験では深く問われる問題もあり、基本的な用語だけではなく意味まで確認しましょう。
そして中学受験の問題では基本知識でも問われ方が違うと答えにたどりつけないことがあります。
また、初見の問題でも与えられた条件や表・グラフを読み取って自分の知識と照らし合わせ答えを導くことが必要となります。
よって、演習問題や過去問は数をこなし慣らすことが大切です。
理科の自宅学習のポイントは、興味・関心を持たせることです。そのためには、天気や天体、植物などの、日常生活に転がっている理科に触れさせることがおすすめ。
例えば天気予報士が「寒冷前線が通過し、激しい雨や落雷に注意が必要です」と説明していたら、参考書などで寒冷前線について子どもと一緒に確認しましょう。
すると「寒冷前線には、通過時に局所的に短時間強い雨を降らせる特徴がある」とわかり、「だから天気予報で言っていたのか」とつながりができます。そして寒冷前線を身近に感じ、興味が沸く可能性があるのです。
そして保護者の方のNGな教え方は「理科が苦手」と決めつけることです。子どもが理科が苦手と思い込み、得意な単元も見いだせなくなるためです。
理科は4つの分野の中に細かな単元が多くあり、一つくらいは好きな単元が見つかることが多いです。好きな単元があれば自主的に勉強するため、得点アップにつながります。「理科が苦手」と決めつけず、まずは興味・関心を持たせるようにしましょう。
算数(150点/60分)
久留米大学附設中学校の算数は、例年大問6題構成になります。
各教科ごとの平均点は公表されていませんが、4教科合計の合格者平均点が例年310~320点で推移していますので、各教科7割を目標として取り組むのが良いです。
大問1は小問集合で、各単元の基礎問題が出題されています。後半の大問で難易度が高い問題が出題されますので、ここはミスなく得点を重ねることが重要になります。全体の問題量と難易度から考えると問題を解くスピードも必要になります。
大問2以降は、図形問題や数列、速さと比が頻出になります。図形問題については、平面図形では図形の移動に関する問題、立体図形では立体の切断など難易度の高い問題が出題されますので、特に対策は必要と言えます。過去問や他の上位難関校の図形問題は良い対策になりますので取り組んでおくと良いです。
数列や速さと比についても、条件整理に時間を取られてしまう事がありますので、時間を掛けるべき問題とそうでない問題等の取捨選択は必要になります。過去問を解く上で、時間配分に注意しながら判断力も身につけておくことが重要です。
国語(150点/60分)
久留米大学附設中学校の国語は、例年大問4題構成になります。
大問1では、一番の特徴でもある聞き取り問題が出題されます。年度によって、聞き取りの文章量が異なりますので、注意が必要です。要点をしっかりメモを取り、聞き逃さないようにする必要があります。長文になると、後半で聞き取りが曖昧になることもありますので、集中して内容を聞くことが重要です。聞き取り問題は、慣れが大きく点数に影響しますので、ラジオなどを使って慣れておくと良いです。
大問2では、知識問題が出題されます。四字熟語などの基本的な語彙や、助詞・助動詞などの文法の部分まで幅広く対策しておく必要があります。
大問3と4では長文読解で論説文・物語文から1題ずつの出題になります。設問形式は。記号選択問題・語句の抜き出し問題・記述問題とバランス良く出題されています。特に記述問題は得点差が開きやすくなりますので、対策が必要になります。論説文の場合は、各段落ごとに要点を確認しておくことで記述での重要語句をまとめやすくなります。特に逆説等の後に重要な文章が来ることは多いですので注意して読み進めましょう。物語文については、主人公の心情の変化や情景に注意しながら読み進めることが重要です。文章内容を正確に理解し、どのような形で出題されても対応できるように練習を積む必要があります。
(参照:四谷大塚)